2015 Fiscal Year Research-status Report
ルーメン絨毛組織の分化・増殖・成長に関わる分子機序の解析と応用戦略の確立
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15K14839
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
盧 尚建 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (90322130)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ウシ / ルーメン / ルーメン絨毛組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では離乳前後におけるルーメン上皮組織の発達に関連する遺伝子を同定することを目的とし、Digital Differential Display (DDD)を用いて候補遺伝子を選別し、その遺伝子発現量を調査した。 【方法】(実験1)ウシの第一胃、二胃、三胃、四胃およびそれら以外の全組織のそれぞれの遺伝子発現頻度をNCBI内のDDDを用いて検索および比較することにより、第一胃において遺伝子頻度が高い遺伝子を、ルーメン上皮発達に関連する候補遺伝子として選別した。(実験2)候補遺伝子の発現を解析するために、黒毛和種牛(離乳前区;3頭 15週齢、離乳後区;6頭 15週齢)の第一、二、三、四胃において、Q-RT-PCR法により候補遺伝子の発現量を解析し、実験1のDDDによる結果と比較した。 【結果・考察】(実験1)DDDによる遺伝子発現頻度の検索を実施し、3つの基準を設けて第一胃において高い発現を示す遺伝子を110個選別することができた。その中の11個の遺伝子について実験2において遺伝子発現解析を行った。(実験2)DDDから選別した11個の遺伝子頻度比較の結果は、Q-RT-PCRによる発現パターンは概ね一致した。また、11個中の3個の遺伝子(HMGCS2、AKR1C1およびFABP3)の遺伝子発現量が離乳前後に有意に変化した。HMGCS2とAKR1C1については離乳後に遺伝子発現量が増加したが、FABP3は減少した。以上の結果から、1)Digital Differential Displayは、ウシルーメンの発達に関連する候補遺伝子をIn silico同定する有用な手法であり、2)HMGCS2、AKR1C1およびFABP3は離乳前後のルーメン発達に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで計画とおり、Digital Differential Display (DDD)方法によりルーメン発達に関連する候補遺伝子を選別し、11個の遺伝子については発現量を検証した。その中でも離乳前後で発現量に変動する遺伝子を同定した。このように多くの知見を得ることが出来たため、当初の計画とおり進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の結果を踏まえ、平成28年度は次世代シーケンサーを利用してRNA-Seqを行い、離乳前後と育成期におけるルーメン発達に関連する遺伝子の選別と発現量を検証する予定である。
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Research Products
(2 results)