2015 Fiscal Year Research-status Report
平面上距離画像とビデオ映像を相補的に用いた牛の発情期自動検知システムの開発
Project/Area Number |
15K14844
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
ThiThi Zin 宮崎大学, 工学部, 教授 (30536959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Pyke Tin 宮崎大学, 国際連携センター, 客員教授 (70536961)
小林 郁雄 宮崎大学, 農学部, 准教授 (20576293)
椎屋 和久 宮崎大学, 工学部, 助教 (00347048)
濱 裕光 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (20047377)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 発情期自動検知 / 繁殖 / 距離画像 / 牛の行動パターン / スタンディング / マウンティング |
Outline of Annual Research Achievements |
牛は季節には関係なく、約21日間隔で発情を繰り返す。発情期には、追従行動、マウンティング、スタンディングなどさまざまな発情行動を行う。その中でもスタンディングの観察は牛の受精において重要である。しかし、スタンディングの検知は観察者によってばらつきがあり、受胎率が年々減少傾向にある。そこで本研究では,牛の発情行動の自動検知のために測域センサのデータと画像処理結果を照らし合わせ、牛のスタンディング及びマウンティングの検知手法の開発を行った。 牛の距離センサデータから、行の差分を行う。差分結果を元に牛のスタンディングの閾値を定めスタンディング検知を行った。センサデータの一つ目のフレームの数値にメディアンフィルタを用いて最適化し、その行を背景データとし、次のフレームの行毎に差分を行う。そこで、1フレーム30秒としてデータを分割する方法を取った。スタンディングの結果が、フレーム間で重なってしまわないように、もう一つフレームを追加することで検出漏れを防ぐ。 スタンディングを検知する際、ノイズの除去を行う。牛の発情行動の検知は、スタンディング及びマウンティングの検知による。提案手法の有効性を示すために行った実験において、スタンディングの検知率91.6%、及びマウンティングの検知率100%を実現することができた。スタンディングの検知率向上が課題である。また、ビデオの映像からは難しかった夜間のスタンディング検知も行えた。一方、発情行動のリアルタイム検知には処理の高速化が不可欠である。また、センサが水平になっていないと誤検知されてしまう場合があるため、センサを水平に固定するように注意を払う必要がある。種々の照明条件下での頑健性向上は、今後に残された課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地面に平行な平面上の距離画像とビデオ映像とを用いる独自のアルゴリズムを開発し、牛の行動パターン時系列から発情を自動的に検知し、牛のID番号と共にネットワークを通じて畜産農家に通報するシステムの開発を行った。雌牛は、受精できる状況になると、「多動」や「乗駕」といった特徴的な行動をとることが知られている。とくに牛繁殖農家では、雌牛を複数頭同じ柵で飼育することが多く、擬似繁殖行動として、発情を示した雌に、周りの雌が「乗る」ことがわかっている。一般的には、牛の発情時期に運動量が上がるという行動特性がある。これらは重要な情報として画像上で捉えることができる。また、時間経過を含む乗駕行動パターンが発情の検知に有用であり、測域センサから照射される2段階の高さの水平照射レーザ光により検知する手法を開発する。ここで用いる測域センサは、真夜中でも土埃や小雨の中でも安定的に動作可能である。ビデオカメラが使用できない夜間でも安定して動作し、高い検知率を達成した。牛のID番号に関しては、ビデオカメラを用いて、90~96%の精度を達成した。このように提案手法の有効性を確認できたことが、「おおむね順調に進展している」と評価した理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度以降はフィールドでの検証結果を重ね、実用化を目指す。背中にペイントされたマーカーと共に、乗駕回数、乗駕・被乗駕の識別、経過時間等のデータを解析することで発情牛を特定し、乗駕された時を発情の開始として授精適期(一般的には発情から8~12時間後)を知ることができる。また、継時変化も含めた複数特徴の利用によって、精度向上を図ると共に、前兆予測への応用も検討する。例えナイトビジョンのような高感度カメラを用いても夜間には低照度の照明を必要とするので、色情報を用いたときに色の変化が生じるので、このような照明変動にたいするロバスト性の確保が今後の課題である。悪い条件下でもリアルタイム検知が可能であり、その結果は前もって決められたルールに従って通報され、畜産農家では映像で視認することができる。距離画像もビデオ映像も常時記録されているので、後で確認することもできる。このように実用化に向けて開発を行っていく。
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Causes of Carryover |
実験に不可欠なソフトウェアのライセンス更新と研究成果を多く発表するために次年度にできるだけ多くの予算を確保した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ソフトウェアのライセンス更新と研究成果発表
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Research Products
(4 results)