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2015 Fiscal Year Research-status Report

TSPO2による時期特異的小胞体コレステロール蓄積と赤芽球の成熟制御

Research Project

Project/Area Number 15K14861
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

稲葉 睦  北海道大学, (連合)獣医学研究科, 教授 (00183179)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2017-03-31
Keywords赤芽球 / 分化・成熟 / コレステロール / 脱核
Outline of Annual Research Achievements

TSPO2のHK型変異がもたらす赤芽球系細胞の成熟および脱核のプロセスに対する影響を検討するために平成27年度は以下の研究を行った。

1. 赤血球表現型HK型、LK型の各犬個体より骨髄細胞を採取し、赤芽球誘導培養系(Two phase liquid erythroid culture)を樹立することで両者における成熟および脱核に関する検討を行った。その結果、赤芽球系への誘導後の細胞ペレットにおける色調からHK型赤芽球ヘモグロビン合成量がLK型と比較して少ない傾向が見受けられた。また、脱核中HK型の赤芽球はLK型比べて不均一に大きく核濃縮が不十分であり、核面積も有意に大きかった。脱核後の赤血球の面積もHK型がLK型に比較して大きく、これらの結果からHK型犬において核濃縮の進行の異常、その結果生じる赤血球のサイズの差が現れることが示唆された。
2.Tspo2遺伝子をノックアウトしたマウス赤芽球前駆細胞株(MEDEP)を用いた赤芽球成熟モデルを用いた検討によって、HK型犬由来細胞に見られた所見と同様、不十分な核濃縮が認められた。また、 後期赤芽球特異的遺伝子(TER119、AE1、TFR)の発現量が低下していたが、前期赤芽球特異的遺伝子(GATA1、GATA2)の発現には大きな影響は認められなかった。このことからTSPO2は主に後期赤芽球成熟に関わっていることが示唆された。同時に、Tspo2ノックアウト細胞においてヘモグロビン合成量およびヘム代謝関連遺伝子の発現量に影響が見られたことからTSPO2がヘム代謝に強く影響することが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

1.HK型犬骨髄由来、およびマウス細胞株由来赤芽球成熟モデルを用いた細胞の性状解析および遺伝子発現解析により、TSPO2の影響が核濃縮の進行、ヘモグロビン合成などに認められ、赤芽球成熟時期特異的であることを示した。
2.一方で、TSPO2による小胞体コレステロール蓄積とそれに関する小胞輸送に対する検討は準備段階である。現在、コレステロール含量と細胞内局在の検討方法を試行し、小胞輸送に関してもVSVGを用いた正確な測定系を樹立中である。

Strategy for Future Research Activity

これまでの研究成果によって、TSPO2の時期特異的重要性を立証することができた。TSPO2がコレステロール結合モチーフをもつ事実、また今年度示した脱核や核濃縮にコレステロールが深く関与している報告などを踏まえ、TSPO2によるコレステロール代謝の変動に焦点をあてHK/LK型赤血球表現型差異を生じる仕組みを明らかにする。

Causes of Carryover

TSPO2による小胞体コレステロール蓄積とそれに関する小胞輸送に対する検討を行う予定であったが、赤芽球成熟モデルの確立によってHK型変異が持つTSPO2特異的差異を確認することに当初予定より時間を割いたため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度の消耗品費と合わせ、特にコレステロール含量と細胞内局在の検討および解析費用に当て有効利用する。

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Published: 2017-01-06  

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