2015 Fiscal Year Research-status Report
次世代ゲノム編集システムCRISPR/Cas9を用いた犬iPS細胞の作製
Project/Area Number |
15K14865
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西村 亮平 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (80172708)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 再生医療 / iPS細胞 / 犬 / CRISPR/Cas9 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は既報の犬iPS様細胞の樹立に用いた犬の初期化因子を用い、犬iPS細胞の樹立を行う予定であったが、保存状態の良い材料を得ることができず、犬iPS細胞の新規樹立については実験を行うことができなかったため、実験に遅れが生じている。現在は、実験の当初案を修正し、犬の4因子のクローニングを最初から見直した上でiPS細胞の作製を開始する予定である。 また、実験計画では我々が新規に樹立した犬の間葉系幹細胞である、骨髄の脂肪細胞の周囲に存在する細胞(骨髄脂肪周囲細胞;Bone Marrow Peri-adipocyte cell:BM-PACと名付けた)を用いる予定であり、これまでも、その幹細胞能を明らかにしてきたが、4因子の導入に用いる細胞としての性質を明らかにするため、幹細胞関連因子の発現を解析した。すなわち、従来我々が用いてきた犬の骨髄中単核細胞から得られる骨髄間葉系幹細胞(BMMSC)とBM-PACにおける幹細胞関連遺伝子発現の比較を行った。結果、初期化遺伝子であるSox2やOct4の発現において、BM-PACは有意ではないものの、BMMSC以上の発現を示した。NANOGや神経幹細胞に関連するNestin等の発現には有意な差は認められなかった。これまで、BM-PACは細胞増殖能がBMMSCと比較して有意に高いことを明らかにしているが、今後これらの性質を利用し、BM-PACへの初期化遺伝子の導入が行えると期待できる結果を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
既報の犬iPS様細胞の樹立に用いた犬の初期化因子を用い、犬iPS細胞の樹立を行う予定であったが、保存状態の良い材料を得ることができず、犬iPS細胞の新規樹立を行うことができなかったた。
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Strategy for Future Research Activity |
既報の犬iPS様細胞で使用した犬の初期化因子の利用が困難となったため、現在Ensembleデータベース上に登録されている配列が存在するが、Klf4についての確定がないため、独自にcDNAをクローニング氏、ORF配列を決定する。その後、犬骨髄由来間葉系幹細胞への初期化因子を挿入し、犬iPS細胞の新規樹立を行う。 樹立可能であったばあい、挿入部位のシークエンスを行い、部位決定ができれば、CRISPR/Cas9による配列選択的挿入を試みる。
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Causes of Carryover |
本年度は、材料として頼っていた既報の犬iPS細胞を入手できず、予定通りの実験を行うことができなかった。犬iPS細胞の樹立に用いる骨髄間葉系幹細胞の培養、維持は継続して行った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度の遅れが生じたため、今年度は独自に犬iPS細胞を作製することを急務とする。使用用途としては、cDNAクローニングおよび犬iPS細胞樹立のための培養に係る消耗品と遺伝子導入およびCRISPR/Cas9利用時には次世代シークエンサーの利用も行うため、それらにかかる消耗品に使用する予定である。また、実験に用いる実験犬の購入も予定している。
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