2015 Fiscal Year Research-status Report
胚盤胞補完法を用いたウサギ/カニクイザル異種間キメラ動物の作製
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15K14887
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
本多 新 宮崎大学, テニュアトラック推進機構, 准教授 (10373367)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 多能性幹細胞 / ES細胞 / iPS細胞 / キメラ / ナイーブ / プライム |
Outline of Annual Research Achievements |
カニクイザルのES細胞およびiPS細胞にキメラ形成能を獲得させることを目的として、ナイーブ化し、その特徴を詳細に解析した。具体的にはヒトES細胞のナイーブ様変換として報告されている複数の論文のうち、もっとも信憑性の高いことが客観的に証明されている論文を参考に、我々独自の培地を開発しナイーブ様に変換した。コロニーの形態、多分化能、LIFへの反応性、代謝経路などからナイーブ様に変換されていることを確認するに至った。またカニクイザルのES細胞だけでなくiPS細胞も独自に樹立し、ナイーブ様変換を行った後に体外での神経系分化誘導に供し、その効率をナイーブ変換前後およびES細胞とiPS細胞で比較することも行った。その結果、試した全ての細胞株において、プライム型の状態よりもナイーブ様に変換した後の方が神経系細胞(オリゴデンドロサイト)への分化効率が優れている事、およびiPS細胞よりもES細胞の方が効率良く分化誘導が可能になることを証明した。最も体外分化能に優れていると判断されたナイーブ様カニクイザルES細胞を、マウス初期胚やウサギ初期胚に注入して異種間キメラ胚を作製し、異種間としてキメラになるか否か検討を行った。マウスを宿主にした場合、異種の細胞が胚に寄与することによる細胞毒性が強く、仮に寄与したとしても着床直後に発生が停止あるいは脱落してしまうことが判明した。ウサギを宿主にした場合はマウス胚を宿主にした時のような細胞毒性は見られなかったものの、キメラとして寄与しているという証拠はほとんど得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでナイーブ化を施したカニクイザルのES/iPS細胞を詳細に解析した結果、比較的質の高いナイーブ状態に変換している証拠が得られている。ただし、そのような幹細胞を用いても異種間でキメラを作製するのは困難であることがわかってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
どのようにすれば、より質の高い幹細胞への変換が可能なのか検討すると同時に、本当に質の高いナイーブ状態の幹細胞であれば、どの動物胚をホストにしても異種間でキメラとして寄与することができるのか否かを検討する予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度に、我々が実験動物として購入しているウサギが感染症に汚染されていることが判明し、その原因がウサギの繁殖施設(業者)で感染が発生したものが、我々の施設に持ち込まれてしまったことであることが明らかとなった。その結果、当実験施設で飼育していた実験用ウサギの全頭殺処分をせざるを得なくなってしまったため、動物を用いた実験の予定に変更が生じ、予算の次年度使用をすることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マウスやウサギを宿主胚としてナイーブ状態にある多能性幹細胞を注入し、異種間キメラを作製する。
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