2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K14889
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
香取 将太 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系, 特別研究員(PD) (50562394)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | モザイク解析 / 神経回路形成 / 遺伝子改変マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
一つの個体が異なる遺伝子型の細胞を含み、その細胞を解析する方法をモザイク解析と呼ぶ。その利点は、細胞密度を低くすることで、変異遺伝子を持つ細胞同士の相互作用を抑制し、興味のある遺伝子の細胞自律的な機能に焦点を当てた研究が行えることである。この方法は、細胞同士の複雑な相互作用によって成り立つ中枢神経系の解析に極めて有効である。これまでの遺伝学的手法を用いたモザイク解析は、遺伝学的な手法を用いるため簡便かつ安定的に解析できるという利点があるが、厳しい使用制限があった。そこで、本研究では遺伝学的手法の長所を残したまま、簡便で汎用性の高い遺伝学的モザイク解析が可能な新規システムの構築を目標とした。また、このシステムを用いて、実際に軸索の詳細な形態解析を行うことも目標とした。 本研究で開発するモザイク解析が可能なマウスでは、特定の細胞のうち少数のみが蛍光タンパク質で標識され、その標識された細胞のみで標的とする遺伝子がノックアウトされる。これらを実行するためには、複雑なシステムを含んだ長いDNA配列をマウスに導入する必要がある。初年度はベクターの構築及び条件検討を行った。本システムはたとえうまく動いても、蛍光が弱ければ、in vivoでの解析が難しくなり、その価値は大きく低下する。そこで、蛍光を強く発現するベクターを作製する必要がある。システムの性質上、標識に用いる蛍光タンパク質をタンパク質Xと融合する必要がある。その融合タンパク質を子宮内電気穿孔法により、神経細胞に発現させたところ、神経細胞は蛍光標識され、タンパク質Xの活性も認められた。しかし、その蛍光タンパク質の蛍光は、融合させていないものと比較すると弱くなっていた。次年度はこの点を改善し、マウスを作製する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で開発するシステムは非常に複雑なので、それを成功させるためには、多くの確認作業が必要となる。現状では、まだマウス作製に進むことができておらず、当初の計画よりも遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、初年度に問題となった蛍光の弱さを改善し、本システムに必要なベクター構築する。また、それを子宮内電気穿孔法で神経細胞に導入し、できる限りシステムが動くことを確認後、マウス作製に移る。そのマウスが実際に使用できることを確認できれば、特定の遺伝子をノックアウトし、その神経細胞の形態を解析する予定である。
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Causes of Carryover |
初年度の予算に、費用が比較的多く必要なマウスの作製及びその飼育費を計上していた。しかし、計画に遅れが生じ、初年度のマウス作製、およびその飼育費が不要となったため、次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、初年度に予定していたマウス作製を行う。 繰り越した予算をマウス作製及びその飼育に使用する予定である。
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