2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K14894
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
仲井 まどか 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60302907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高務 淳 国立研究開発法人 森林総合研究所, 森林昆虫研究領域, 研究員 (80399378)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アスコウイルス / ウイルス伝播 / 寄生蜂致死タンパク質 / ベクター / 寄生蜂 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. アスコウイルスのベクター寄生蜂種の特定:a.野外生態における生態調査:東京農工大学FSセンターのサトイモ畑でハスモンヨトウ幼虫を採集し寄生蜂の同定を行った。174頭のハスモンヨトウ若齢幼虫を採集しその致死要因を解析した結果、52%がギンケハラボソコマユバチによる寄生により致死した。その他の寄生蜂としては、Microplitis属の寄生蜂による寄生が1頭(0.6%)のみみられた。この圃場でのアスコウイルスの感染率は現在解析中であるが、我々が日本ではじめて発見したアスコウイルス分離株が見つかった埼玉県の圃場における調査においても同様に、ギンケハラボソコマユバチがハスモンヨトウ幼虫の重要な寄生性天敵であった。これらのことから、アスコウイルスのベクター寄生蜂としてギンケハラボソコマユバチが有力であると考えられる。b. ギンケハラボソコマユバチが実際にアスコウイルスを伝播するかどうかを室内実験により調査した。その結果、ギンケハラボソコマユバチはアスコウイルスを伝播することが明らかになった。 2. 寄生蜂致死タンパク質(PKT)がベクター寄生蜂に及ぼす影響:日本産アスコウイルス由来のpktホモログが実際に寄生蜂致死活性を持つかどうかを明らかにするために、pktホモログを挿入した組換えバキュロウイルスの構築を行った。Bac-to-Bacシステムを用いて、バキュロウイルスの包埋体主要たんぱく質であるポリヘドリンを搭載した組換えウイルスにアスコウイルス由来のPKT遺伝子を挿入したベクターを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本で分離したアスコウイルスの生物的特徴を明らかにし、野外でのハスモンヨトウ幼虫の寄生率を調査した。また、このアスコウイルスのベクターとしてギンケハラボソコマユバチが有力な候補であることを室内実験で明らかにした。日本のアスコウイルス分離株には、PKTホモログが2個存在する。現在のところその一方のクローニングが完了しており、同様の手法を用いて、2つめのホモログの構築も完了する予定である。そのため、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
クローニングしたpktホモログのタンパク質発現を行い、ウエスタンブロッティングによりタンパク質量を確認する。この組換えウイルスを用いて発現させたタンパク質の寄生蜂に対する致死活性を調査する。具体的には、ギンケハラボソコマユバチ等の寄生蜂幼虫をペトリ皿において培地中で培養し、バキュロウイルス発現系で発現させたPKTを添加してexo vivoでの寄生蜂致死タンパク質活性を確認する。また、アスコウイルス感染虫内で生育したギンケハラボソコマユバチ幼虫が健全虫で生育した蜂幼虫に比べてどのような影響を被るかをin vivoで調査する。野外におけるハスモンヨトウ幼虫の寄生性天敵の調査も前年に引き続き行い、ギンケハラボソコマユバチと競争関係にある寄生蜂種を探索する。
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Causes of Carryover |
当初計画よりも安価な物品が調達できたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額は次年度物品費に組み込み適正に支出する計画
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Research Products
(7 results)