2015 Fiscal Year Research-status Report
シングルセル内分泌学的手法による昆虫変態マスター細胞の検証
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15K14895
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| Research Institution | Kanazawa University |
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Principal Investigator |
岩見 雅史 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (40193768)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木矢 剛智 金沢大学, 自然システム学系, 准教授 (90532309)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | カイコガ / 発生・分化 / 脱皮・変態 / ホルモン / 神経科学 / 遺伝子 / 神経分泌 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
昆虫の後胚発生はエクジソン及び幼若ホルモンの協調による脱皮によって進行する。この際、脱皮のタイミングを決定するのがエクジソンであり、このエクジソンの合成タイミングを制御するのが脳の神経分泌細胞から分泌されるPTTHである。PTTH細胞からのPTTH分泌は、光や温度などの外的要因と栄養状態などの内的要因によって制御されている。本研究では、内的・外的な環境情報がPTTH細胞へと集約され、PTTH細胞の神経活動状態へと還元されることで脱皮のタイミングの制御が行われているという仮説を立て、PTTHの神経活動の詳細な解析及び人為的な操作により本仮説の検証に取り組んでいる。
本年度はまずPTTH細胞特異的にGCaMP6fを発現するカイコガ系統を作出した。このカイコガ幼虫のsemi in vivoおよびex vivo全脳プレパレーションを作成し、PTTH細胞及びアラタ体におけるCa動態を明らかにした。PTTH細胞は常時自発的な神経発火を示したが、①ワンダリング期には活動レベルが下がること、②日内変動があること（朝に良く活動し夜には活動が減る）、③血中エクジソンによるフィードバック制御を受けること、を見出した。また、PTTH細胞が示す自発的なCa発火には、電位依存性Naチャネル、低閾値活性化型のCaチャネルが寄与していることを阻害剤投与実験により明らかにした。
次にシングルセル・トランスクリプトームのサンプル調整のため、幼虫の脳からPTTH細胞を単離する条件を検討した。ディスパーゼ及びコラゲナーゼの濃度・時間を検討した結果、再現性良くPTTH細胞を単離できる条件を決定した。
最後にショウジョウバエを用いたRNAiスクリーニングを開始した。PTTH細胞特異的にエクジソンシグナルを遮断すると蛹で死亡することを見出した。また、別のシグナル経路の遮断でも同様の表現型が得られることを見出した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載の通り、カイコガ幼虫を用いたPTTH細胞の神経活動動態の大まかな解析を行うことができた。また、PTTH細胞の単離条件も決定することができた。来年度の計画を先取りする形で、ショウジョウバエを用いたRNAiスクリーニングにも着手することができた。これらのことから、本研究計画は順調に進展していると判断した。
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| Strategy for Future Research Activity |
来年度以降は、まずPTTH細胞の神経活動レベルがワンダリング期にのみ低下することや日内変動がおこること、エクジソンによるフィードバック制御があることの詳細なメカニズムを明らかにする。これには電気生理学的なアプローチが有効であると考えられることから、現在、細胞内電極法およびパッチクランプ法による細胞膜電位の計測に取り組んでいる。このことを明らかにすることで、どのような生理学的メカニズムによってPTTH細胞の神経活動レベルが変化するのかといった事を明らかにでき、さらにはその背景にある分子機構、ひいては脱皮タイミングを決定する機構を明らかにできると期待される。
次に、化学遺伝学的手法により、PTTH細胞の神経活動レベルを人為的に操作することで、脱皮タイミングにどの様な表現型が出るかを明らかにする。神経活動レベルを人為的に操作するために必要な系統は現在作出を進めている。これにより、前述の仮説の検討を行う。
最後に、各ステージのカイコガ幼虫の単離PTTH細胞を用いたRNA-Seq解析、ショウジョウバエを用いたRNAiスクリーニングを行い、脱皮タイミング制御に関与するシグナル経路や遺伝子の同定を進める。すでにショウジョウバエにおいてはRNAiスクリーニングに着手しているため、これを継続して進める。これによりPTTH細胞でどのようなシグナル経路が動くことで脱皮タイミング制御が行われているのかということを明らかにする。
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Research Products
(1 results)
