2015 Fiscal Year Research-status Report
エンドファイト-内生バクテリア共生系利用による植物への空中窒素固定能の付与
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15K14902
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
成澤 才彦 茨城大学, 農学部, 教授 (90431650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西澤 智康 茨城大学, 農学部, 准教授 (40722111)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エンドファイト / 内生バクテリア / 植物生育促進 / 窒素固定 |
Outline of Annual Research Achievements |
無機態窒素を含む培地:Rhizobium処理区において、植物体のバイオマス量は対照区と比較して有意な増加は確認されなかった。同バクテリアを除去したcured V. simplex接種区、Rhizobium+ cured V. simplex処理区およびV. simplex処理区における植物体のバイオマス量は有意差はなかった。Rhizobium+ cured V. simplex処理区で、植物体のバイオマス量はcured V. simplex接種区と比較して、1.1倍の増加が確認された。植物体の全窒素量は、V. simplex処理区で最も高く有意な増加が認められた。根部の観察では、V. simplexを接種した全ての処理区で、菌糸の定着が観察された。再分離試験の結果では、Rhizobium処理区からはRhizobium sp. Y9は分離されなかった。一方、Rhizobium+ cured V. simplex接種区からはRhizobium sp. Y9およびV. simplex Y34が共に分離された。 有機態窒素を含む培地:cured V. simplex 接種区およびRhizobium+ cured V. simplex接種区で、植物体のバイオマス量は対照区と比較して有意に増加した。Rhizobium接種区では対照区と比較して有意な増加はなかった。また、V. simplex 接種区では、cured V. simplex接種区およびRhizobium+ cured V. simplex接種区と比較して、植物体のバイオマス量は有意に減少し、葉の黄化が確認された。 無窒素培地Rhizobium接種区において、有意な増加はなかった。Cured V. simplex接種区では、地上部乾燥重量が最も低下したが、バクテリアとの共接種によって乾燥重量が増加する傾向が認められた。 以上より、Rhizobium sp.Y9およびV. simplex Y34間における何らかの相互作用により、植物の生育が促進されることが示唆された。また、植物の生育促進効果には窒素供給以外の相互作用が関わっていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新しい生物的窒素固定技術を開発するため、エンドファイトとしてV. simplexを選抜し、さらに同菌に内外生するバクテリアとしてRhizobium sp. Y9の獲得に成功した。さらに共接種を行うことで植物の生育促進効果も確認出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
Rhizobium sp. Y9のゲノム解析等を行い、植物の生育促進に窒素固定が関わっているのかを確認する。さらに、窒素固定能が確認されているバクテリアを積極的にV. simplexに内外生させ、目的である生物的窒素固定技術を開発する。
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Causes of Carryover |
予定していた計画よりも短期間で対象菌類に相互作用を示すバクテリアの特定に至ったため、培養等の試薬に経費がかからなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
植物への生育促進効果を検討するため、遺伝子解析用の経費への追加を計画している。
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