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2015 Fiscal Year Research-status Report

完全人工合成された葉緑体ゲノムを有する遺伝子組換え植物の創出

Research Project

Project/Area Number 15K14912
Research InstitutionIbaraki University

Principal Investigator

中平 洋一  茨城大学, 農学部, 准教授 (40423868)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywords葉緑体ゲノム / 形質転換 / 遺伝子発現制御 / 人工リボスイッチ / 合成生物学
Outline of Annual Research Achievements

本研究課題では、高等植物の葉緑体ゲノムを、酵母などの微生物を宿主として人工合成し、当該人工ゲノムを植物の葉緑体に導入して野生型ゲノムと置き換え、安定に維持するための技術基盤を開発する。平成27年度は、自己(組換え型葉緑体ゲノム)は認識しないが、非自己(野生型葉緑体ゲノム)を特異的に認識して切断する人工制限酵素を用いて、組換え型ゲノムのホモプラズミック化を促進する新技術(=「自己・非自己ゲノム認識システム」)の確立を試みた。「自己・非自己認識システム」では、葉緑体ゲノムへの遺伝子導入の各段階に応じて、人工制限酵素の発現量を厳密に制御することが必要である。この要件を満たす要素技術として、低分子リガンド依存型“人工リボスイッチ”による遺伝子発現誘導系の活用を検討した。まず、4種類のリボスイッチ制御配列(内1種類は既報)を導入した発光レポーター株(葉緑体形質転換タバコ)を作出し、生物発光を指標に評価した。その結果、新規3種類の人工リボスイッチは、いずれも、発現誘導効率または最大誘導活性の点で、既報の制御配列を上回る性能を示し、「自己・非自己認識システム」で求められる厳密な遺伝子発現制御に有効であると考えられた。この成果に関して学会発表を行った。
上記3種のリボスイッチから1種を選択し、その制御下で人工制限酵素を発現誘導できる葉緑体形質転換ベクターを構築し、(相同組換えを介した)形質転換効率の向上を試みた。残念ながら、現段階では目標値(= 従来法の10倍以上の形質転換効率)を達成できていないが、条件検討(リボスイッチ制御配列の種類、発現誘導に用いるリガンド濃度など)が未だ不十分であり、平成28年度も継続検討する予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

平成27年度は、「自己・非自己ゲノム認識システム」を活用することで、葉緑体形質転換効率の向上を目指した。残念ながら、未だ目標値(= 従来法の10倍以上の形質転換効率)を達成できていないが、条件検討(リボスイッチ制御配列の種類、発現誘導に必要なリガンド濃度など)の余地が残されており、次年度集中して取り組むことで挽回可能であると考えている。また、「自己・非自己ゲノム認識システム」の要素技術として用いた、新規3種類の人工リボスイッチ制御配列については、(発現誘導効率または最大誘導活性の点で)既報の人工リボスイッチの性能を大幅に上回った。この成果は、当該リボスイッチが、基礎生物学的解析(=葉緑体遺伝子の機能解析等)および応用研究(= 細胞毒性を有する高付加価値タンパク質・代謝産物の生産等)の両面に貢献できる、有用な遺伝子工学的ツールとなり得ることを示唆している。以上のように、当初想定していなかった成果が得られたことも勘案し、研究全体の達成度としては「やや遅れている」とした。

Strategy for Future Research Activity

平成27年度中に達成できなかった「自己・非自己ゲノム認識システム」を活用した葉緑体形質転換効率の向上に関して、条件検討を継続する。3種類の新規人工リボスイッチの内、これまでに試したのは、最大誘導活性が中程度のものであるが、形質転換効率の向上が認められない理由としては、人工制限酵素の発現量が高すぎる(または低すぎる)ことが考えられる。まずは、残り2種のリボスイッチの利用並びにリガンド濃度の至適化を通して、目標値(= 従来法の10倍以上の形質転換効率)の達成を目指す。この方針で十分な成果が得られない場合には、1) 人工制限酵素による葉緑体ゲノム上の認識部位の変更や、2) 別種の人工制限酵素の利用等を検討する。以上の検討結果を踏まえて導出される、効果的な「自己・非自己ゲノム認識システム」を装備した“人工葉緑体ゲノム”の構築を進める。

Causes of Carryover

平成27年度当初計画の一つであった「酵母を用いた人工葉緑体ゲノムの構築」については、(平成27年度途中の研究進捗状況から判断して)本格実施は、平成28年度に先送りにする方が得策であると考えた。その理由としては、まず、酵母を宿主としたクローニング系の導入に予想以上に時間を要した点が挙げられる。加えて、「自己・非自己ゲノム認識システム」を用いた葉緑体形質転換効率の向上に関しても、今後の展開によっては、使用する人工制限酵素種や(葉緑体ゲノム上での)目的遺伝子導入部位を変更せざるを得なくなる可能性があり、人工葉緑体ゲノムの設計にも大きな影響を与えることが予想された。そこで、平成28年度に期待される「自己・非自己ゲノム認識システム」に関する成果を、(時間・コストの観点から)効率的に、人工葉緑体ゲノムの構築に反映するために、必要な物品費を繰り越した。

Expenditure Plan for Carryover Budget

葉緑体DNA (156 kbp) の人工合成に必要なプライマー・人工遺伝子合成費用、および、構築した人工葉緑体DNAの塩基配列解析用試薬の購入費用として使用する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2016 2015

All Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Genetic engineering and metabolite profiling for overproduction of polyhydroxybutyrate in cyanobacteria2015

    • Author(s)
      Sayaka Hondo, Masatoshi Takahashi, Takashi Osanai, Mami Matsuda, Tomohisa Hasunuma, Akio Tazuke, Yoichi Nakahira, Shigeru Chonan, Morifumi Hasegawa, Munehiko Asayama
    • Journal Title

      Journal of Bioscience and Bioengineering

      Volume: 120 Pages: 510-517

    • DOI

      10.1016/j.jbiosc.2015.03.004.

    • Peer Reviewed / Int'l Joint Research
  • [Presentation] Utilization of the theophylline-dependent engineered riboswitches for strict control of plastid gene expression in tobacco.2016

    • Author(s)
      中平 洋一、小川敦司、戸澤譲、椎名隆
    • Organizer
      第57回日本植物生理学会年会
    • Place of Presentation
      岩手大学 上田キャンパス
    • Year and Date
      2016-03-18 – 2016-03-20

URL: 

Published: 2017-01-06  

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