2015 Fiscal Year Research-status Report
イネ種子プロテインボディを医療用タンパク質の消化管へのデリバリーに利用する研究
Project/Area Number |
15K14923
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
増村 威宏 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (50254321)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 医療用タンパク質 / イネ種子 / 胚乳 / プロテインボディ / プロラミン / ドラッグデリバリー / 形質転換イネ / 植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、イネ種子に存在するプロテインボディをヒトや家畜の消化管へのドラッグデリバリー用のマイクロ容器として利用を目指す挑戦的な研究である。申請者はイネ種子中に存在するプロテインボディ-I(PB-I)に内在性プロラミンが蓄積する仕組みを詳細に解析してきた。本研究はその仕組みに新しい技術を追加し、医療用タンパク質をPBの特定領域へ局在化し、ヒトや家畜の消化管へドラッグデリバリーすることで、少量で効果の高い薬品用マイクロ容器を創出する事を目的とする研究である。 具体的な研究項目は以下の通りである。(1)PB-I輸送に必要なプロラミン配列(プロラミンコード領域)の最小領域を明らかにする。(2)目的タンパク質を消化管内で切り離すリンカー配列を探索する。(3)イネ培養細胞(カルス)中で、有用タンパク質を高蓄積する人工PBを生成する。 本年度は(1)について研究を進めた。医療用タンパク質のモデルとしGFPを用い、アミノ酸配列の相同性が高いが、PB-I内部におけるプロラミンの局在性が異なる13-a prolaminと13-b prolaminのコード配列を用いて、GFP融合タンパク質を発現する組換えイネを作出し、種子胚乳内のPB-I中に局在するプロラミンミニマム配列を調査した。その結果、13-a prolaminと13-b prolamin共に開始メチオニンからおよそ80アミノ酸配列までがPB-Iへの局在性に関与することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)PB-I輸送に必要なプロラミン配列(プロラミンコード領域)の最小領域を明らかにする 本年度は1)について研究を進めた。アミノ酸配列の相同性が高いが、PB-I内部におけるプロラミンの局在性が異なる13-a prolaminと13-b prolaminのコード配列を用いて、GFP融合タンパク質を発現する組換えイネを作出し、種子胚乳内のPB-I中に局在するプロラミンミニマム配列を調査したところ、PB-Iへの局在性に関与するアミノ酸配列が明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究項目(1)~(3)について以下の様に研究を進める。 (1)PB-I輸送に必要なプロラミン配列(プロラミンコード領域)の最小領域を明らかにする。本研究により、最小領域が明らかになったので、実験データを追加し、論文投稿へ進める予定である。 (2)目的タンパク質を消化管内で切り離すリンカー配列を探索する。上記で明らかになった最小配列とGFPとの間に入るリンカー配列について検討を進める。 (3)イネ培養細胞(カルス)中で、有用タンパク質を高蓄積する人工PBを生成する。最小配列とモデルタンパク質の融合タンパク質を発現する形質転換カルスを作出する予定。 次年度の研究費については、交付申請書に記載した計画に従って使用する予定である。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画通りに当該助成金を使用したが、年度末の購入品が間に合わず残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度の研究計画に従い、当該助成金と合わせて、翌年度の助成金を使用する予定である。
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