2015 Fiscal Year Research-status Report
キラルカルバニオンからの不斉転写によるアレン誘導体のエナンチオ選択的合成法の開発
Project/Area Number |
15K14929
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
武田 敬 広島大学, 医歯薬保健学研究院(薬), 教授 (30135032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 道子 広島大学, 医歯薬保健学研究院(薬), 准教授 (30379888)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 有機合成 / 不斉反応 / アレン / シアニドイオン / キラルカルバニオン |
Outline of Annual Research Achievements |
γ-ブロモ-α,β,γ,δ-不飽和アシルシランに,相間移動触媒としてシンコナアルカロイド由来の四級アンモニウム塩存在下,二層系溶媒中KCNを反応させると,2-シアノ-2-シロキシビニルアレンが最大エナンチオマー比79:21で得られた.また,この反応の立体過程を明らかにするために中間体であるシリルアルコールの単離を検討したが,不可能であった.これはシアノ基のα-カルバニオン安定化能に起因するBrook転位の加速によるためと考えられたので,シアニドイオンに換えて安定化能に乏しいヒドリドに着目した.α位にキラリティを持つキラルリチウムアミドからのヒドリド転位を利用して,Brook転位を経由する1,4-脱離反応の立体過程を検討した.その結果,シリケート中間体において切断される炭素-ケイ素結合と炭素-臭素結合が同じ向きを向いた配座から進行するsyn-1,4-脱離で進行していることが明らかになった.シリルアルコールの単離を目的に,脱離基を持たないアクリロイルシランを同様の反応に付したところ,シリルアルコールは単離できなかったものの,O-シリルシアノヒドリン誘導体が最大エナンチオマー比86:14で得られた.このことから,Brook転位で発生させたキラルニトリルカルバニオンを完全にラセミ化する前に水で捕捉可能であることが明らかになった. 以上の結果は,キラルな臭化アンモニウム誘導体とKCNの組合せが,キラルなシアニドイオン源になり得るという新規な知見を与えるもので,今後の更なる展開が期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
γ-ブロモ-α,β,γ,δ-不飽和アシルシランに,相間移動触媒としてシンコナアルカロイド由来の四級アンモニウム塩存在下,二層系溶媒中KCNを反応させることにより,光学活性なアレン誘導体が得られ,またその立体過程についても明らかにすることができた.反応機構に関する検討を行う過程で,アシルシランからBrook転位によって発生させたキラルニトリルカルバニオンを水によって捕捉可能という新規知見も見出した.当初の目的からの若干の軌道修正はあったものの,十分な成果をあげることができたと考えている
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Strategy for Future Research Activity |
アシルシランにシンコナアルカロイド由来の四級アンモニウム塩存在下,二層系溶媒中KCNを反応させた場合の面選択性およびBrook転位の立体過程を明らかにする.また,Brook転位を経由する光学活性なO-シリルシアノヒドリン誘導体合成法を確立する. また,光学活性なアレン合成についても引き続き検討を行う.
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Causes of Carryover |
新規に合成した化合物に適した液体クロマトグラフィー用の分析用キラルカラムを購入する必要が生じたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画通り分析用キラルカラムを購入するとともに,研究の進捗状況に応じて,セミ分取用カラムの購入も視野に入れる.
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[Presentation] Fitst Total Synthesis of Prunustatin A2015
Author(s)
Shuhei Yamkoshi, Masako Okamoto, Eiji Kawanishi, Michiko Sasaki, Kei Takeda
Organizer
The 13th International Kyoto Conference on New Aspects of Organic Chemistry
Place of Presentation
Kyoto
Year and Date
2015-11-09 – 2015-11-13
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