2015 Fiscal Year Research-status Report
α-アミノ酸の自在合成を指向した触媒的化学選択的無保護アミノ基導入反応の開発
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15K14930
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大嶋 孝志 九州大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (10313123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢崎 亮 九州大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (70635812)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 有機化学 / 非天然αアミノ酸 / 化学選択性 / アミノ化 / ナイトレノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らのこれまでの「触媒制御型の化学選択的反応開発」と「デザイン型カルボン酸誘導体を用いた触媒的不斉反応」の知見を基盤とした、炭素–窒素結合形成反応(アミノ化反応)によるN-無保護α-アミノ酸の合成法の確立を目的とする。本反応の特徴は以下の通りである。 1.デザイン型カルボン酸誘導体を用いることで、事前活性化が不要で変換反応も容易となり、従来法と比較して全合成プロセスの反応工程数の削減が可能 2.従来法では適用困難であった、反応性の高いケトンやアルデヒド等の官能基存在下、目的の反応を化学選択的に進行させることが可能(化学選択性の逆転) 3.アミノ基保護(一級アミン)のα-アミノ酸誘導体を直接得ることが可能 触媒的な、直接無保護アミノ基導入反応は、報告例の無い新規反応である。また本コンセプトは他の多くの反応開発へと適用可能で、有機合成化学分野におけるイノベーションを促進させるものである。 平成27年度は、目的に適したデザイン型カルボン酸誘導体の探索、Synergistic CatalysisとしてLewis酸(エノラート化)/遷移金属(ナイトレノイド生成)協働触媒系の探索を行い、二座配位型のデザイン型カルボン酸誘導体の特徴を生かし、他の高反応性のカルボニル化合物共存下において、デザイン型カルボン酸誘導体のα位選択的にアミノ化反応を進行させる条件の探索を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
カルボン酸等価体として二座配位可能な活性アミドを中心に検討を行った結果、3,5-位にMe基を有するアシルピラゾールが最適であることを見出した。これはアシルピラゾールのアミドN上の不対電子対のカルボニルへの共鳴が抑えられているため、一般的なアミドに比べてα位の酸性度が高くなっていることに加え、金属中心に二座配位することでアミドの電子密度が低下するため、さらにα位の酸性度を高めることが可能となっていることに由来する。続いて、Lewis酸触媒と遷移金属触媒の組み合わせを様々検討を行ったところ、Cu(OTf)2が最適触媒であり、Lewis酸触媒としてアシルピラゾールを活性化するとともに、遷移金属触媒としてPhI=NTsからのナイトレノイドを生成するという、二つの機能を有する協働触媒として働いていることを見出した。新たに開発した本触媒系は、様々な官能基を有するカルボン酸から容易に誘導できるアシルピラゾールのα位アミノ化反応を促進し、Lithocholic AcidのLate-Stageアミノ化にも成功した。本触媒系の最も特徴的な性質は、分子内にケトンや、さらに酸性度の高いα位水素を有するニトロ基などの官能基が存在しても、アシルピラゾールのα位選択的にアミノ化反応が進行する点である。本研究成果はJ. Am. Chem. Soc.誌に発表し、2016年2月のMost Read Articlesに選ばれている。本触媒反応は、カルボン酸等価体のα位アミノ化という従来の炭素-炭素結合形成反応とは全く異なるアプローチでの非天然αアミノ酸合成法であり、本触媒反応の実現は世界的に大きく注目されているため、本研究課題は「当初の計画以上に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、平成27年度の研究で達成できなかった(1)触媒的不斉反応への展開、(2)無保護一級アミノ基の導入反応に焦点を絞り検討を行う予定である。まず、再度、Lewis酸触媒と遷移金属触媒の組み合わせの検討を行い、より高活性な触媒系の探索を行うとともに、それぞれの金属に特徴的な不斉配位子を検討することで、高収率・高エナンチオ選択的に反応を促進することを目指す。Lewis酸触媒としては、金属触媒の他に、有機触媒も合わせて検討する予定である。さらに、アミノ化試薬として、直接無保護一級アミノ基を導入可能なDPH及びその誘導体を用いて反応の条件の検討を行う。これらの触媒系の再検討に加え、様々な官能基を有する天然・非天然のカルボン酸のαアミノ化によるαアミノ酸合成を行い、本触媒系の有用性を示すとともに、ライブラリー構築を行うことで、メディシナルケミストリーへの貢献も合わせて検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初の想定よりも早く最適触媒を見出すことができたため、高価な遷移金属触媒の購入費が抑制できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、再度、ルイス酸触媒と遷移金属触媒のスクリーニングを行う予定であるため、それらの購入費として使用する。また、不斉触媒反応の検討も予定しているため、不斉配位子の購入費としても使用する予定である。さらに、平成27年度の研究で大きな成果を上げることができたため、研究成果の発表のための旅費として使用する予定である。
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[Journal Article] Isomeric Methoxy Analogs of Nimesulide for Development of Brain Cyclooxygense-2 (COX-2) -targeted Imaging Agents: Synthesis, in Vitro COX-2-Inhibitory Potency, and Cellular Transport Properties2016
Author(s)
Y. Yamamoto, T. Hisa, Takuya. J. Arai, Y. Saito, Y. Yamamoto, T. Mukai, T. Ohshima, M. Maeda, Y. Ohkubo
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Journal Title
Bioorg. Med. Chem.
Volume: 23
Pages: 1524-1530
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] A novel anti-microtubule agent with carbazole and benzohydrazide structures suppresses tumor cell growth in vivo2015
Author(s)
M. Ohira, Y. Iwasaki, C. Tanaka, M. Kuroki, N. Matsuo, T. Kitamura, M. Yukuhiro, H. Morimoto, N. Pang, B. Liu, T. Kiyono, M. Amemiya, K. Tanaka, K. Yoshida, N. Sugimoto, T. Ohshima, M. Fujita
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Journal Title
Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - General Subjects
Volume: 1850
Pages: 1676-1684
DOI
Peer Reviewed
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