2015 Fiscal Year Research-status Report
非天然アミノ酸を利用した新規細胞膜表面修飾法の開発とDDSへの応用
Project/Area Number |
15K14940
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋田 充 京都大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20135594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 ゆり子 京都大学, 学内共同利用施設等, 講師 (40402797)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ドラッグデリバリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、細胞を治療の標的部位へ選択的に送達するDDSを目指し、PEG脂質を利用した細胞膜表面へのリガンド修飾法を開発することである。本年は、まずPEG鎖の鎖長の異なるPEG-DSPEを合成し、それらを表面に修飾した間葉系幹細胞(MSC)とディッシュ上に播種された血管内皮細胞との接着を評価した。エチレングリコールの繰り返しが2-6回程度では、細胞接着にほとんど影響がなかったが、PEG鎖長が長い程、また修飾される分子数が多いほど、接着が阻害された。そこでICAM1と結合することが知られるLFA-1の結合配列を有するペプチドをリガンドとして短鎖PEG脂質に結合させたpeptide-PEG-DSPEを合成した。これを用いてペプチドを修飾したMSCを一定の流速で血管内皮細胞の上に流したところ、未修飾のMSCと比較して移動速度が遅くなった。タンパク質をリガンドとして利用する場合に、ペプチドの機能や構造を維持したままPEG脂質に結合させるため、タンパク質の特定の位置で結合させる必要がある。そこで、タンパク質のモデルとして蛍光タンパク質mKO2を選択し、遺伝子工学的手法で標的となる箇所に非天然アミノ酸であるアジドフェニルアラニンを導入し、質量分析法でアジド基が標的箇所に導入されていることを確認した。またPBS中でDBCO-PEG-DSPEとクリック反応で結合させmKO2-PEG-DSPEを得た。さらに、結合させてもmKO2の蛍光スペクトルに変化がないことを確認した。これを含む培地で細胞を培養し、蛍光顕微鏡で観察すると細胞膜表面に蛍光シグナルが観察された。以上、本年度は、ペプチドリガンドを結合させたPEG脂質で細胞膜表面を修飾することにより細胞接着を向上させることができ、さらに、非天然アミノ酸を導入することによりタンパク質をリガンドとしてPEG脂質に結合させる方法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の目標は達成された。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度はタンパク質のモデルとして蛍光タンパク質を利用したが、次年度は、標的細胞との接着を向上させることを目的に、リガンドタンパク質を選定し、本年度確立した非天然アミノ酸を介してPEG脂質と結合させる。それを用いて、細胞膜表面修飾を行い、標的細胞との接着の向上を目指す。
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Causes of Carryover |
実験計画は予定通り進んでいるが、論文投稿まで至らなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文投稿に使用する。
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Research Products
(2 results)