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2015 Fiscal Year Research-status Report

Cochlinを介した難聴傷害発症メカニズム解析による新規難聴仮説の検証

Research Project

Project/Area Number 15K14948
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

山本 一夫  東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (20174782)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2017-03-31
Keywords遺伝性疾患 / 難聴 / cochlin / グリコサミノグリカン
Outline of Annual Research Achievements

Cochlinは常染色体優性遺伝性難聴疾患DFNA9の原因遺伝子COCHのコードするタンパク質であり、内耳の蝸牛や三半規管に高発現している。N末端からLCCL、vWA1、vWA2のドメインから構成される分泌タンパク質である。COCH遺伝子上に変異が生ずると、20から40代で進行性の難聴障害と平衡感覚障害を呈する。現在までにDFNA9患者ではCOCH遺伝子上に約20種類のミスセンス変異が報告されており、その変異はLCCLドメインに集中している。
Cochlinが何らかの細胞外マトリクス成分と相互作用するという仮説を立てリガンドの探索を行った。Cochlinを細胞表面に発現させたレポーター細胞を作成し、細胞外マトリックスを構成するさまざまな分子と結合を調べたところ、ヒトCochlinはグリコサミノグリカン (GAG)の一つであるヘパリン (Hep)と強く結合し、特にN硫酸化が両者の結合に必須であることがわかった。CochlinとGAGとの結合は、LCCLドメインを介して結合していることが示唆された。DFNA9患者にみられる変異を導入した8種類のCochlin変異体レポーター細胞を作成し糖結合性を調べたところ、いずもwild-typeと比較してHepに対する結合性が低下していた。しかも、その結合性の低下と難聴発症時期には正の相関が見られ、病態との関連が認められた。
一方、免疫組織化学的解析を行うために、マウスcochlinに関しても同様のGAG結合性について検討を行った。その結果、ヒトと類似のGAGに対する親和性が示された。また、マウスcochlinに対する複数のモノクローナル抗体の取得にも成功した。今後、この抗体を用いて老齢マウスと若齢マウスの内耳組織の比較、GAG鎖の量や硫酸化の程度について検討し、難聴発症のメカニズムに迫る予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

マウス内耳組織を用いた組織染色を行うためのマウスcochlinに対するモノクローナル抗体を複数取得することができた。これにより、遅発性の難聴がどのようなメカニズムで発症するに至るのかという点に関して、さまざまな週齡のマウスを比較検討することができるようになった。また、内耳組織から調製したGAGの分析も平行して行い、聴力の測定と合わせて疾患の本質に迫ることができると考えている。

Strategy for Future Research Activity

ヒトCochlinで明らかにしたGAGに対する親和性などの性質が、マウスcochlinでも同様に当てはまることが確認できた。そこで、今後は主にマウスを用いた解析を重点的に行う予定である。具体的には、(1) マウス内耳組織におけるcochlinの局在や発現量について、若齢マウスと老齢マウスの比較、またGAG硫酸化ができないPAPSノックアウトマウス等を用いて、比較解析する。(2) また、マウス内耳組織におけるリガンド糖鎖の局在につて、さらには内耳組織からGAGを精製し2糖繰り返し構造に分解して硫酸化の位置や程度をHPLCで分析するなどして、cochlinとリガンド糖鎖との加齢に伴う変化について検討する。
(3) また定量的な解析を行うために、cochlinそのものやリガンド糖鎖の生合成に関わる酵素群の発現量についても、リアルタイムPCRを用いて定量し、経時的な変化について詳細に検討する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2015

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] Mutated leguminous lectin containing a heparin-binding like motif in a carbohydrate-binding loop specifically binds to heparin2015

    • Author(s)
      Abo, H. , Soga, K., Tanaka, A., Tateno, H., Hirabayashi, J., Yamamoto, K
    • Journal Title

      PLoS One

      Volume: 10 Pages: 1-13

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0145834

    • Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] 遺伝性難聴障害DFNA9におけるCochlin糖結合能との相関2015

    • Author(s)
      本田智子、柳原零、河崎徳人、鹿内俊秀、成松久、山本一夫
    • Organizer
      第34回日本糖質学会
    • Place of Presentation
      東京大学安田講堂
    • Year and Date
      2015-07-31 – 2015-08-02
  • [Presentation] N-アセチルグルコサミン修飾の新規同定法の開発2015

    • Author(s)
      安保博仁、山本一夫
    • Organizer
      第34回日本糖質学会
    • Place of Presentation
      東京大学安田講堂
    • Year and Date
      2015-07-31 – 2015-08-02
  • [Presentation] Cochlin糖結合能解析及び遺伝性難聴障害DFNA9との相関2015

    • Author(s)
      本田智子、柳原零、河崎徳人、鹿内俊秀、成松久、山本一夫
    • Organizer
      第16回Pharmaco-Hematologyシンポジウム
    • Place of Presentation
      日本薬学会永井記念館
    • Year and Date
      2015-06-13

URL: 

Published: 2017-01-06  

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