2016 Fiscal Year Annual Research Report
Advocacy of cancer microenvironment control axis via immune system by CGRP
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15K14950
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辻川 和丈 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (10207376)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | CGRP受容体 / CGRP / RAPM1 / 癌 / 免疫制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌はわが国における死亡者数のトップを占める疾患である。この癌の発症や悪性化機序の解明、さらには癌治療戦略において、免疫担当細胞の機能や活性の制御機構解明が重要である。一方、免疫系は神経系と巧妙にクロストークしている証拠が蓄積されてきた。よって、癌の発症や悪性化機序の解明、さらには癌治療戦略において、神経系―免疫系を介した癌微小環境の統合的解析研究を進めることが必須と考えた。そこで本研究は、申請者がこれまで蓄積してきた、①神経ペプチドであるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)による免疫系制御、②癌臨床検体を用いた遺伝子の発現とその機能の解析、③CGRP受容体であるreceptor activity-modifying protein-1 (RAMP1)欠損マウスの作製、の成果と技術を統合させることにより、CGRP―免疫系―癌微小環境制御軸の存在を示すことを目的とした。 その結果、マウス肺がん細胞 3LL を皮下移植するモデルにおいて、RAMP1欠損マウスは野生型マウスに比べ有意な腫瘍形成能抑制が見られた。またこのマウス腫瘍を用いて解析した結果、担癌RAMP1 KOマウスではマクロファージのバランスがM1型に偏倚し、腫瘍へのマクロファージの浸潤が亢進している傾向が見出された。またin vitroの実験から、CGRPが骨髄由来マクロマージのCCL2による遊走を有意に抑制すること、またIL-12の産生をも有意に抑制することを認めた。 以上の結果より、CGRPはM1マクロファージの腫瘍への遊走や炎症性サイトカイン産生を抑制して、腫瘍形成促進に関わっていることが示された。よって本研究により、CGRPを介した免疫系特にマクロファージ機能を介した癌微小環境制御軸の存在を明らかにすることができた。
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Research Products
(2 results)