2016 Fiscal Year Research-status Report
新規抗糖鎖抗体を用いたがん悪性化における糖鎖の機能解明と糖鎖バイオマーカーの探索
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15K14955
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
川島 博人 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (50260336)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 糖鎖 / 抗糖鎖抗体 / シアリルルイスX / フコース転移酵素 / がん転移 / セレクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
がん関連フコシル化糖鎖抗原であるシアリルルイスX(Sialic acidα2-3Galβ1-4(Fucα1-3)GlcNAcβ1-R)に対する新規抗糖鎖モノクローナル抗体を用いた解析により、同糖鎖抗原の明確な発現の認められたヒト大腸がん細胞株の培養上清を用いてウエスタンブロット解析を行った。その結果、シアリルルイスX糖鎖抗原が高分子量の糖タンパク質上に選択的に存在することが明らかとなった。そこで次に、この糖鎖抗原の簡便かつ高感度な検出系の開発を試みた。その結果、非標識およびビオチン標識した同抗体を用いたサンドイッチELISA系を樹立し、ヒト大腸がん細胞株の培養上清中における同糖鎖抗原を検出することに成功した。血清存在下でも同糖鎖抗原を高感度で検出できたことから、このサンドイッチELISA系はがんバイオマーカー検出系として有用と考えられた。次に、この糖鎖発現のがん転移における役割を解析するために、シアリルルイスX糖鎖抗原の発現に関わるフコース転移酵素Fuc-TVII 遺伝子を導入したマウス大腸がん細胞株CT26および親株をBALB/cマウスに静脈内投与して比較解析を行った。しかし、予想外なことに肺転移に有意差を認めなかった。一つの可能性として、正常の肺血管にはシアリルルイスX糖鎖抗原と結合するセレクチン等の糖鎖結合分子が発現しない可能性が考えられる。そこで現在、同遺伝子導入株と親株をBALB/cマウスの脾臓内に移植し、門脈経由で肝臓に転移する過程を比較解析しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
シアリルイルイスX発現がん細胞のマウス移植実験を継続する必要が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
シアリルルイスXを強制発現させたマウス大腸がん細胞株およびその親株をBALB/cマウスに脾内移植し、肝転移を解析する。
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Causes of Carryover |
シアリルルイスX糖鎖抗原を発現するがん細胞のマウスへの移植実験の結果、想定外の結果が得られたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
がん細胞の投与経路を変更した実験の実施に必要な物品の購入に使用する。
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Research Products
(7 results)