2016 Fiscal Year Research-status Report
凝集・脱凝集の視点から探るアミロイドβオリゴマー生成機構
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15K14956
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
塚越 かおり 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20708474)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アミロイドβ / アルツハイマー病 / オリゴマー |
Outline of Annual Research Achievements |
アミロイドβ(Aβ)の異常凝集はアルツハイマー病の発症過程の最初期に発生することから、そのメカニズムの理解は早期診断・早期治療法の開発のために重要である。本研究ではAβが脳内に蓄積するアルツハイマー病モデルマウスを用いて、特に高い細胞障害性が疑われるAβオリゴマーのin vivoにおける形成機構を明らかにすることを目指している。 18~20ヶ月齢のモデルマウス脳または野生型マウス脳から皮質、海馬を取り出し破砕後、Tris可溶性画分、膜画分、不溶性画分を調製した。AβのN末端を認識する抗体を用いてウエスタンブロッティング解析を行った結果、膜画分に分子量の異なる複数のAβオリゴマーが存在することが示唆された。一方、Tris可溶性画分ではAβモノマーがメインバンドであったことから、脳内でAβオリゴマーは膜上で形成しているか、凝集後に膜上に局在する可能性が考えられた。また不溶性画分をSDSで可溶化し、ウエスタンブロッティング解析に供すると、複数のAβオリゴマーのバンドが観察され、ペレットにAβ線維が含まれることが確認できた。膜画分の解析で観察された一部のAβオリゴマーは分子量が大きく、電気泳動で分離されなかったため、660 kDaの分子量まで解析可能なゲルろ過クロマトグラフィーでの解析系を立ち上げた。また高感度にAβを検出する手法の開発にも着手し、10 fmol程度の合成Aβを検出できることを確認した。当初はTris可溶性画分のみを評価していく予定であったが、実際は膜画分に多くのAβオリゴマーが含まれていたことから、今後はこの2つの画分に注目し解析を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス脳の画分調製ならびにAβオリゴマー分析の実験を立ち上げることができ、膜上に水溶性Aβオリゴマーが局在している可能性を見出した。また6ヶ月齢、9ヶ月齢のモデルマウスから脳摘出を完了しており、加齢依存性を解析するための脳試料の準備も整ってきている。以上より、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
12ヶ月齢、15ヶ月齢のマウス脳試料を準備し、今後は加齢依存性に着目したAβオリゴマーの分析に注力する。ウエスタンブロッティング、クロマトグラフィー解析、高感度Aβ検出系を駆使して、脳内で形成されるAβオリゴマーの同定と機序の解明に取り組む。
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Causes of Carryover |
モデルマウスの加齢に15ヶ月を要するため、平成28年度中に研究費を使い切ることができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越した予算はマウスの飼養費と試薬購入のための物品費として使用する。
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