2015 Fiscal Year Research-status Report
新規なサブタイプ選択的阻害薬の創製による脳内GABAトランスポーター機能の解明
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15K14960
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
南 雅文 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20243040)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳・神経 / 薬理学 / 有機化学 / トランスポーター / 創薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
GABAトランスポーター(GAT)の阻害薬に関しては、神経型であるGAT-1に選択的な阻害薬は多く報告されている一方、グリア細胞に発現が多いGAT-2、GAT-3およびBGT-1に選択的な阻害薬の報告は少なく、その選択性も低い。申請者らはこれまでに、GABAの立体配座制御を行った化合物をリード化合物として種々の新規化合物を合成し、インビトロでの薬理活性評価を行うことで、GAT-3/BGT-1に比較的選択性の高い化合物Aを見出し、さらに、化合物Aの構造改変を進め、BGT-1に高い選択性を有する化合物Bを創製してきた。この化合物Bに関して、本年度の研究では下記の1)~3)の研究を行った。1)化合物BのGABA受容体に対する親和性を受容体結合阻害実験により検討したところ、化合物BはGABAA受容体への親和性を有するが、GABAB受容体には親和性を有しないことが示された。さらに、脳スライスパッチクランプ法を用いた電気生理学的解析により、化合物BはGABAA受容体に対しアゴニストとして作用することが示された。2)BGT-1とGABAA受容体に対する作用を分離するため、化合物Bをリードとして数種類の新規化合物を合成し薬理活性を検討したが、BGT-1に選択的な化合物を得ることはできなかった。3)BGT-1とGABAA受容体に作用する化合物BとGABAA受容体にのみ作用するムシモールについて、マウス尾懸垂試験法により抗うつ作用を検討したところ、化合物Bは5-150ngの用量の側内室内投与により抗うつ作用を示したが、GABAA受容体への結合親和性から換算された活性等価用量である0.3-10ngのムシモールの側脳室内投与は抗うつ作用を示さなかったことから、化合物Bの抗うつ作用には少なくともBGT-1が関与していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記したように、交付申請時に記載した1)~3)の研究について、一定の研究結果を得ていることから、研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に引き続きGAT阻害薬候補化合物の設計・合成と薬理活性評価を行うとともに、脳室内投与により個体レベルでの薬理作用が観察された化合物について以下の4)~6)の検討を行う。4)中枢薬理活性に関する詳細な行動薬理学的解析:記憶学習(水迷路試験)、運動量(オープンフィールド試験)、運動機能(ロータロッド試験)、鎮痛(ホットプレート試験、フォルマリン試験)、依存性(条件付け場所嗜好性試験)などの他の中枢機能に対する薬理活性を評価する。5)全身性投与による中枢薬理活性評価:創薬研究への展開も視野に入れ、腹腔内あるいは経口投与による中枢薬理作用を行動薬理試験により検討する。6)病態モデル動物を用いた中枢薬理活性評価:脊髄神経結紮により作製した神経障害性疼痛モデルマウス等の病態モデルマウスにおける鎮痛作用や抗うつ・抗不安作用について検討する。
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Causes of Carryover |
平成27年度中に全額使用済みであるが、年度末に購入した物品の支払が本報告書の作成時点で反映されていないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記のとおり、平成27年度中に使用済みである。
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Research Products
(2 results)