2015 Fiscal Year Research-status Report
精神疾患に関わるストレス脆弱性を左右する神経回路基盤の解明
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15K14964
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
笠井 淳司 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (40454649)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | うつ / 社会的敗北ストレス / 全脳 / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性的なストレスによりうつ病などが発症する機構は、ほとんど解明されていないため、モノアミン仮説に基づいた抗うつ薬が開発されて以降、有効な新薬開発に成功していないのが現状である。ストレスにより変化する脳機能は、シナプス可塑性などによる機能的な神経回路の再編を伴っていると考えられるが、複雑な神経回路をすべて評価することは困難である。そこで、本研究では、全脳から個々の神経活動をモニタリングすることで、機能的な神経回路の変化を捉え、さらに神経活動を操作することにより、うつ病等の発症に繋がるストレス脆弱性に関わる脳内変化を明らかにする。本年度は、繰り返す社会的敗北ストレス(CSD)モデルの確立、CSDモデルマウスの全脳神経活動マッピングの作製、および、神経活動に変化がある脳領域の神経回路を全脳レベルでマッピングした。その結果、前障などの微小脳領域でも神経活動が変化していることを明らかにした。また、前障は、内側前頭前皮質、扁桃体基底外側核、縫線核と相互に神経回路を構築していること、視床下部へ投射していること、さらに腹側海馬CA1領域からの投射を受けることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CSDモデルの全脳神経活動マップを作製し、ストレス応答に関わる神経活動の変化を詳細に解析した結果、既知の脳領域だけでなく、微小脳領域の変化も捉えることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
神経活動が変化する脳領域の神経活動の操作を行い、うつや不安行動にどのように影響するかを解析する。
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Causes of Carryover |
神経活動の操作系を、オプトジェネティクスから薬理遺伝学的手法へ変更したことにともにない、実験系の構築に時間がかかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在は神経活動の操作系の構築が完了したため、次年度中に神経回路基盤の解明に向けた実験を実施する。
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Research Products
(6 results)