2015 Fiscal Year Research-status Report
天然物を利用したヒストン化学修飾剤によるエピジェネティックス制御
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15K14974
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
市川 聡 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (60333621)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エピジェネテッィクス / 抗がん剤 / 天然物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヒストンメのエピジェネティックス研究における有用な新規ケミカルツールと新規抗がん剤シードの開発を目指し、低分子エピジェネティックス制御化合物を創製するものである。本年度は優れた細胞透過能とDNAビスインターカレーター能を有する環状ペプチド系天然物であるキナルドペプチンを母骨格とした誘導体の合成を行った。まず、Ugi 多成分反応のメリットを最大限に利用したキナルドペプチンの全合成経路の検討を行った。グリシルサルコシンと、3位に不斉中心を有する5員環状イミン、ジアミノブタン酸から調製したイソニトリルによるジアステレオ選択的なUgi多成分反応(3成分3分子反応)を行いテトラペプチドを得た。これをイソシアノカルボン酸に変換した後、2度目のUgi多成分反応(2成分4分子反応)により、2量化とマクロ環化反応を検討した。その結果痕跡量ではあるが、目的とする環状デカペプチドを得ることができた。併行して、固相合成法によるキナルドペプチン誘導体の合成も行った。環状ペプチド部のアミノ酸残基を変換した誘導体16個を合成し、そのDNA結合能とヒトがん細胞増殖抑制活性を評価した。その中で、天然物と同等の活性を有する誘導体を見出す事ができた。さらに類縁天然物であるトリオスチンAとエチノマイシンの全合成にも着手し、双方向型の伸張経路により、短行程でトリオスチンAの全合成を達成した。本経路は、多彩な誘導体合成に適した合成法である。本合成法をエチノマイシンの全合成に適用すべく、種々条件検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
キナルドペプチンに関しては、Ugi 多成分反応による液相法と併行して、固相法による合成を展開する事で、母骨格を変換した誘導体の合成と生物活性評価を行う事が出来たため。得られた構造活性相関に関する情報は、今後の誘導体合成に有用な情報となる。 また、環サイズの異なるトリオスチンAの誘導体合成に適した全合成も達成出来た事から、キナルドペプチンとあわせて、環状ペプチドライブラリー構築へ向けて大きく前進したと言えるため。
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Strategy for Future Research Activity |
Ugi 多成分反応によるキナルドペプチンの効率的合成を更に進める。 活性を保持または増強したキナルドペプチン誘導体・トリオスチンA誘導体に対して、メチル基やアセチル基の供与官能基を導入して、ヒストン修飾能を検討する。更にヒトがん細胞増殖抑制活性とエピジェネティックス変化を検討する。
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Causes of Carryover |
平成27年度中に全額使用済みであるが、年度末に購入した物品の支払いが本報告書の作成時点で反映されていないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記のとおり、平成27年度中に全て使用済みである。
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[Presentation] Synthetic study of plusbacin A32015
Author(s)
Katsuyama, A.; Matsuda, A.; Ichikawa, S.
Organizer
PACIFICHEM, The International Chemical Congress of Pacific Basin Societies 2015 (Poster Presentation)
Place of Presentation
Honolulu (Hawaii, USA)
Year and Date
2015-12-15 – 2015-12-15
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