2015 Fiscal Year Research-status Report
データ駆動型ドラッグリポジショニングによる既存薬の抗がん作用の発見
Project/Area Number |
15K14980
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山西 芳裕 九州大学, 高等研究院, 准教授 (60437267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 憲三朗 東京大学, 医科学研究所, 特任教授 (00183864)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | インシリコ創薬 / 既存薬再開発 / 適応拡大 / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の新薬開発の行き詰まりを打開する創薬戦略として、既存薬の新しい効能を発見し別の疾患に対する治療薬として再開発するドラッグリポジショニングが注目を浴びている。近年の生命科学では、ヒトの全ての遺伝子やタンパク質に関するオミックスデータや、薬物に関する生理活性情報や膨大な薬物応答遺伝子発現情報も蓄積されつつある。本研究プロジェクトでは、そのような大量のデータを有効活用し、がんに対するデータ駆動型ドラッグリポジショニングの手法を提案する。ドライ研究とウェット研究を連携して取り組むことによって、臨床試験に有望な既存薬を同定することを目指す。 平成27年度は、本研究で用いるデータの収集を行った。薬物やがんに関する様々な情報は、インターネットや文献、データベースに分散して存在するため、それらを適時収集して整備した。特にヒトの多様ながん細胞株のデータを整備し、薬物応答遺伝子発現プロファイルの時系列データを解析した。更に薬物の化学構造や副作用情報なども用いて、薬物の抗がん作用を予測する統計モデルを構築した。肺がん、食道がん、大腸がん、乳がん、頭頸部がん、子宮頸がん、悪性中皮腫、血液腫瘍など様々ながんに対する既存薬の抗がん作用を予測し、生物学的考察を基に実験で検証するための薬物を選択した。これまでの成果について、平成27年度は国際学術雑誌への論文発表を1件、国内学会での口頭発表を1件行った。本研究プロジェクトは、おおむね順調に進展していると考えることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、研究代表者は、まずデータの収集を行った。薬物とがんに関する様々な情報は、インターネットや文献、データベースから収集し、当初の計画通りにデータを収集し、薬物とがんのペアの特徴の記述子の構築をすることができた。 研究代表者は、収集したデータを基に抗がん作用を予測する統計モデルを構築した。研究分担者の臨床的視点から薬物の絞り込みの基準等を導入し、アルゴリズムの改良を行った。当初の計画通りに、提案手法のアルゴリズムのプロトタイプを実装することがした。 これまでの成果について、平成27年度は国際学術雑誌への論文発表を1件、国内学会での口頭発表を1件行った。本研究プロジェクトは、おおむね順調に進展していると考えることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、研究代表者は提案するインシリコ手法を日本や欧米で承認されている全ての既存薬に適用し、抗がん作用を持つ可能性のある既存薬を各がんに対してリストアップする。研究分担者は、がんに対する効能が新たに予測された既存薬(これまで抗がん効果が知られていないもの)の抗がん作用を実験で検証し、候補薬剤を絞り込む。研究代表者と研究分担者は定期的に研究打ち合わせを行い、ドライ研究とウェット研究を研究プロジェクトの円滑な進行を促す。
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Causes of Carryover |
本研究プロジェクトのデータ整備のためのシステム構築を考えていたが、業者の都合で納期が遅れることが判明したため、年度内に購入することができなくなった。また参加を予定していた国内外の会議やシンポジウムに、日程が合わず参加できなかったため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
初年度からの研究活動が実り順調に研究成果が出てきており、本年度はその成果を適切なタイミングで発表していくため、国際学会や国内学会への参加費用、論文出版費用に適時使用していく予定である。また計算リソース強化、データベース作成、ストレージの購入に、適時使用していく予定である。
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Research Products
(2 results)