2015 Fiscal Year Research-status Report
Major Urinary Proteinの脂肪蓄積・脂肪細胞分化制御機構の解明
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15K14989
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
永瀬 久光 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (40141395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 剛 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (50303988)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リポカリン / 尿中排泄蛋白質 / メタボリック症候群 / アンドロゲン / トランスジェニックマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
メタボリック症候群の発症には性差があることが知られており、男性の場合はアンドロゲンの減少がその要因の一つであると考えられている。本研究では、アンドロゲン依存的に発現が誘導されるリポカリンファミリー分子で、尿中排泄蛋白質であるMajor Urinary Protein Type1(MUP1)に着目し、独自に作製した全身でMUP1を高発現するトランスジェニック(TG)マウスを用いて、脂肪蓄積/脂肪細胞分化におけるMUP1 の詳細な作用メカニズムを解明することを最終目的としている。今年度は8週間の高脂肪食負荷によって肥満誘導を行った際の雌雄におけるMUP1の役割について解析を行った。TGマウスは雌雄共に、通常食摂取時は野生型マウスと比較して特に変化が認められなかったが、高脂肪食負荷時においては、脂肪重量の増加に起因する体重増加に対して抵抗性を示した。また野生型マウスでは高脂肪食負荷により血中トリグリセライド値が高値となるが、雌性TGマウスでは血中トリグリセライド値の上昇に対しても抵抗性を示した。一方で、雄性TGマウスでは雌性マウスで認められた効果が確認されなかった。さらに高脂肪食負荷時にMUP1は脂肪組織で急激に発現が上昇することも明らかとなった。以上の結果から、MUP1は脂肪蓄積/脂肪細胞分化に対して抑制的に働くとともに、その影響には雌雄差があることが示唆され、MUP1のようなリポカリン分子がメタボリック体質を規定している可能性も考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、MUP1を高発現するTGマウスを用いて、MUP1が脂肪蓄積/脂肪細胞分化に対して抑制的に働くとともに、その影響には雌雄差があることを見いだすことができた。また次年度にMUP1の分子メカニズムを探るために、各遺伝子型の胎生繊維芽細胞(MEF)を確立し、TG-MEFでは恒常的にMUP1を高発現していることも確認しており、その準備は万端である。以上の理由から、概ね計画通り進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、確立したMEFを用いて、脂肪細胞分化過程におけるMUP1の生理学的意義を詳細に解析する。またMUP1がアンドロゲンによって誘導されることから、生殖腺ホルモンの糖質脂質代謝制御におけるMUP1の寄与度についても検討することで、MUP1の脂肪蓄積/脂肪細胞分化における役割の全容解明を行う。
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Causes of Carryover |
本研究では独自に作成したTGマウスを自家繁殖して実験に用いるが、今年度は非常に繁殖効率がよく、また他のプロジェクトでもこのTGマウスを用いて実験を行っていることから、動物実験や維持管理における費用の大部分を節約することができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
もともと本学の実験動物の維持管理費が高額であるため、支給された研究費からすると当初の計画では使用する動物の数や実験項目が制約されていたが、予算に少し余裕ができたことから、脂肪細胞分化の主要制御因子であるPPARgamma等との関与なども調べるために、当該分子を欠損した遺伝子改変マウスと交配したMUP1-TG/遺伝子欠損マウスを用いて、さらに詳細な分子メカニズムの解明を行っていきたい。
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Research Products
(5 results)