2016 Fiscal Year Annual Research Report
Verification of the structure of selenophosphate
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15K14991
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小椋 康光 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (40292677)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | セレン / ICP-MS / NMR / ESI-MS / スペシエーション / セレノリン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
セレンは生体必須元素であり、生体内ではセレノシステインという形で、セレンタンパク質の活性中心に主に利用されている。セレンタンパク質生合成の主要な代謝中間体であるセレノリン酸は、生体内でセレノリン酸合成酵素(SPS2)により生合成される。これまでセレノリン酸の化学構造は提唱されてきたものの、その化学的な安定性や生合成のメカニズムが詳細でなかったことから、現在提唱されている構造には、些かの疑問が持たれている。そこで本研究の目的は、従来から提唱されているセレノリン酸を化学的に合成し、SPS2産物と構造が一致するかを検証することである。 研究成果として、(1)従来から提唱されているセレノリン酸の化学合成に成功した、(2)SPS2自身がセレンタンパク質であるため、通常の大腸菌を用いた組換えタンパク質を作製することができない。そこで、SPS2のセレノシステイン残基をシステインに置換した変異型SPS2を得ることに成功した。 当初の仮説通り、化学合成したセレノリン酸はSPS2産物とは異なる構造をしていることを明らかにした。セレノリン酸やSPS2産物は化学的に不安定、特に極めて容易に酸化してしまうことから、容易にその構造を明らかにできないものと予想される。今後は、化学的な不安定性に注意を払いながら、変異体SPS2を利用して、セレンタンパク質の生合成に要求されるセレン供与体の化学構造を明らかにすることを目指したい。
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Research Products
(12 results)