2016 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism of postprandial hyperglycemia due to transporter gene knockout and identification of endogenous substrates
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15K15000
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
加藤 将夫 金沢大学, 薬学系, 教授 (30251440)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膜輸送体 / ブドウ糖 / ミトコンドリア / メタボローム / 糖代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に実施したTCA回路基質の一斉分析の結果から、膜輸送体OCTN1が必須アミノ酸の細胞内への取り込みないしは代謝や、TCA回路の働きに関与する可能性が示唆された。しかしながら、さらなる詳細な検討を行ったところ、LC-MS/MSで測定されたTCA回路基質濃度は、培養条件ごとの変動が大きく、OCTN1安定発現細胞株と空ベクター導入細胞の間で必ずしも明確な濃度の違いが観察されず、どの代謝反応にOCTN1が関与するかを特定することができなかった。そこで、関与する代謝過程を直接検討するため、引き続き安定発現細胞株および空ベクター導入細胞を用い、細胞に重水素標識グルコースないしはグルタミン酸を添加後の、TCA回路基質の濃度変化の一斉分析を試みた。しかし、明確な代謝過程の時間推移を検出することができず、この手法ではどの過程に関与するかを突き止めることはできなかった。そこで、他の手法を用いて仮説の検証を行うことを目的として、糖代謝に及ぼす定量的役割の解明を試みた。すなわち、両細胞株にグルコースを添加し、培地中からのグルコースの減少速度を観察したところ、両細胞で糖代謝によると思われるグルコース濃度の減少が観察されたものの、通常培養下、飢餓培養下ともに両細胞間での違いはなかった。一方、TCA回路基質であるピルビン酸で同様の検討を行ったところ、空ベクター導入株では経時的に減少の後、回復傾向が見られたのに対し、遺伝子導入細胞では経時的な減少のみが見られた。両細胞株間の違いは、飢餓培養下でも同様であった。これらの結果は、OCTN1がピルビン酸の消費ないしは合成過程に関与している可能性を示し、TCA回路における役割が支持された。今後は、より生理的な培養細胞と遺伝子ノックダウンの手法を組み合わせることにより、糖代謝に及ぼす役割を定量的に解明できるものと考えられた。
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Research Products
(2 results)