2015 Fiscal Year Research-status Report
生体試料中miRNA濃度測定による薬物代謝酵素・トランスポーターの臓器別機能予測
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15K15004
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
家入 一郎 九州大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (60253473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 豪 九州大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80423573)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 薬剤反応性 / miRNA / 生体試料中濃度 / 薬物代謝酵素 / トランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
標的とするトランスポーターとして、OATP1B1とMATEを取り上げた。臨床試験で得られた血液を用いた検討の前段階として、ヒト肝臓組織を用い、候補となるmiRNAの抽出を行った。、OATP1B1とMATE mRNAが高発現と低発現する検体を試料として、miRNAマイクロアレー解析を実施した。発現強度(シグナル値)が100以上、発現変動が3倍以上で、targetScanなどのデータベースにより、両トランスポーター遺伝子塩基配列と相同性のあるmiRNAを抽出した。その結果、両トランスポーターについて、数種類のmiRNAを特定した。さらに、ヒト肝臓組織において、OATP1B1 mRNA発現量と特定のmiRNA発現量には、有意な負の相関を認めた。CYP3A4についても、ミダゾラムを試験薬とした臨床試験をpreliminaryに実施し、OATP1B1と同様な手法により、発現に寄与が疑われるmiRNAを特定中である。 今回の検討では、標的トランスポーターの発現臓器を考慮し、肝組織を使用した。そこで、血液中に遊離する肝組織由来のmiRNAの定量法を確立することを目的とした検討に入った。具体的には、肝特異的に高発現することが知られている膜タンパクであるトランスフェリン受容体を抗原とする免疫沈降法によるexosome抽出法の検討を行った。miR-122は肝特異的なmiRNAであることから、得られた細胞が肝由来か否かについては、miR-122の定量で判断する。その結果、一部、特異性が得られておらず、さらに特異的な抽出方法について検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目的のOATP1B1に加え、MATEについても検討を加えている。OATP1B1遺伝子に直接的に作用することが予想されるmiRNA数は少ないことから、発現等に寄与することが知られている転写因子など、対象とする遺伝子を拡大して検討を加えた。その結果、幾つかの候補が絞られており、血中濃度のモニター法の確立など、ほぼ想定した方向性で研究全体が進行していると評価される。
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Strategy for Future Research Activity |
大きく3つの方向性で検討を続ける。①候補miRNAの機能解析:機能を有すると推定されるmiRNAについて、luciferase assayによる両トランスポーターの発現への影響を評価する。また、mRNAのみではなく、肝臓組織でのタンパク質の発現への関与をwestern blotで評価する。②肝臓由来exosome抽出方法の確立:トランスフェリン受容体を抗原とする免疫沈降法の確立。③臨床検体を使用したmiRNAの定量と基質薬物の体内動態との関連評価。以上を行い、一連の研究をまとめる。
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