2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K15005
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大戸 茂弘 九州大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (00223884)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 薬学 / 分子時計 / エキソソーム / 病態 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体機能には日周リズムが存在し、生体の恒常性維持に重要な働きをしている。これらの生体リズムは、中枢に存在する視床下部の視交叉上核(体内時計)により制御されている。さらに、視交叉上核のリズムは、細胞一つ一つに存在する時計遺伝子という一連の転写因子群により制御されている。そのリズムは、中枢から末梢組織へ伝播され、生体の階層性を整えている。 エキソソームは体液に含まれる直径40-150nmの脂質二重膜である。古くはゴミ箱として存在意義が認められていたが、近年、病態や診断への応用研究が盛んに行われている。そこで我々は、血清エキソソームに着目し、エキソソーム中に含まれる時計遺伝子の発現および機能解明を行なうことで、体内時計の新たなメカニズムの一旦を解明することにした。野生型マウスより1日6時点に各種臓器を摘出し、時計遺伝子のmRNAおよびタンパク発現量を測定した。各種臓器における時計遺伝子のmRNAおよびタンパク発現量に有意な日周リズムが認められた。次に野生型マウスの血清よりエキソソームを回収したところ、エキソソーム量には日周リズムは確認されないことが示唆された。一方、血清エキソソーム中に含まれる時計遺伝子制御因子の一つであるAlbumin D-site binding protein (DBP)量には日周リズムが認められた。Asialoglycoprotein receptor 1 (ASGPR1) 抗体を用いた免疫沈降法により肝臓由来のエキソソームを回収した。その結果、肝臓由来の血清エキソソーム中のDBP量にも日周リズムが認められ、肝臓でのDBP量の日周リズムを反映していた。 血清エキソソーム中の時計遺伝子DBPは、肝臓の時計遺伝子のリズムを予測できる新たなリズム診断法に応用できることが示唆された。来年度は、病態時における肝臓のリズム診断法の構築を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝臓での時計遺伝子DBP量の日周リズムと関連して、肝臓由来の血清エキソソーム中のDBP量にも日周リズムが認められた。すなわち血清エキソソーム中のDBPは、肝臓の時計遺伝子のリズムを予測できる新たなリズム診断法に応用できることが示唆された。以上のことから、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年実施した課題1に加えて、課題2について検討する。すなわち、正常時の結果と対比して、病態時の肝臓での時計遺伝子DBP量の日周リズムの変容と関連して、病態時の肝臓由来の血清エキソソーム中のDBP量にも日周リズムの変容が認められるか否かを検討する。そして、正常時および病態時の分子時計機構に及ぼすエキソソームの役割について検討する。
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Research Products
(4 results)