2016 Fiscal Year Annual Research Report
Medication for pregnant women based on 'barrier transition' behavior in feto-placental circulation
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15K15007
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
登美 斉俊 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 教授 (30334717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 友宏 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 講師 (40453518)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 胎盤関門 / miRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
胎盤から胎児への関門遷移を担う情報伝達分子として胎盤由来miRNAに着目して解析を行った。胎盤関門の成熟にはprotein kinase A (PKA)が関与することが報告されている。ヒト絨毛癌由来で胎盤関門モデルとして汎用されるJEG-3細胞に対し、PKAアゴニストであるforskolinを添加して培養し、miRNAの発現変動をマイクロアレイを用いて網羅的に解析した結果、miR-126の発現変動が特に大きく、少なくとも3倍に上昇することが示された。miR-126の導入によって発現変動を受ける遺伝子についてもマイクロアレイを用いて網羅的に解析した結果、最も発現上昇した遺伝子が胎盤関門形成時の合胞体化および胎児血液脳関門の形成に必要な膜タンパクであるMFSD2Aであることが示された。さらに、JEG-3細胞からの分泌小胞(エクソソーム)をHepG2細胞に添加することで、HepG2細胞から胎盤特異的miRNAであるmiR-517-3pが検出されること、そしてHepG2細胞における薬物代謝酵素の発現量を変動させることを明らかにした。妊娠高血圧腎症のヒト胎盤においてmiR-126の発現量が減少していること、妊娠高血圧腎症モデルマウスにmiR-126を導入することで胎児成長が改善することが報告されているため、miR-126は胎児成長への関与が示唆される。以上から、胎盤関門に発現するmiRNA-126はMFSD2Aの発現を誘導することで胎盤関門の形成に関与するだけでなく、エクソソームとして分泌されて胎児血を循環し、胎児脳血管内皮細胞におけるMFSD2Aの発現を誘導することで血液脳関門の形成を促す可能性が示された。本研究成果を萌芽として、胎盤および胎児血液脳関門形成と遷移に関する情報伝達機構の全体像解明につながることが期待できる。
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