2015 Fiscal Year Research-status Report
大気環境・走査電子顕微鏡法による細胞と組織のライブイメージング
Project/Area Number |
15K15012
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
牛木 辰男 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40184999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 真人 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (60588250) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 走査電子顕微鏡 / バイオイメージング / 大気圧観察 / 細胞 / 組織 / 生きた観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年開発された大気環境走査電子顕微鏡(大気環境SEM)法により、大気圧という自然な環境で細胞や組織を観察する可能性を追求するのが本研究の目的である。平成27年度では、大気環境SEM試作機により、実際に多様な生物試料を観察し、この顕微鏡の可能性と問題点を抽出した。 植物の葉の表面のような組織では、試料表面が平坦で、かつ水滴が付着しない状態に資料を調整することができることから、きわめて良好な画像を取得することが可能であったが、動物組織では、表面凹凸が複雑で、かつ表面に水滴が付着し、試料の真の形状の観察が難しかった。すなわち、大気圧SEMで鮮明な画像を得るためには、隔膜(大気圧試料室に電子線を入射させるための窓に貼られた電子線透過膜)と試料表面との距離を、50μm程度に接近させる必要があるが、動物組織全体の凹凸はそれ以上のものが多く、またその凹部に水が付着してしまうことが多いため、目的の構造を画像にすることがきわめて難しかった。したがって、いかに観察表面を平滑にし、しかも表面の水を除去した環境を用意できるかが試料作製のポイントである。 一方で、水分を含んだ組織は予想以上に信号(反射電子)を発することがわかった。 次年度は、上記の結果を念頭に、大気圧SEMの特性を生かすことが可能な表面の平坦なモデル試料(シート状の上皮組織)などを捜す必要がありそうである。それにより生きた組織への応用の可能性を検討する。また、生きた状態に限らず、固定した組織においても、イオン液体に置換するなどの工夫を試みながら、病理組織の迅速診断等に活用できるか、その可能性を探る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績に記載したが、標本の凹凸と表面の水分の問題で、動物組織の観察が予想以上に難しいことがわかった。当初の生きた動物組織の観察をゴールにするには、乗り越えなければならないハードルが大きい点で、当初以上の多様な試みと、新たなアイディアが必要とされているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の最終目標の生きた動物細胞の観察については、期間内に成功するかわからない部分もあるため、研究計画を若干変更し、以下の2点について実験を進める予定である。 1)生きた植物細胞の観察とそれによる細胞の電子線ダメージについて。植物細胞の観察は比較的簡単なことから、それを用いて生きた細胞への応用を行う。これにより、電子線照射が細胞の形状や動きに及ぼす影響を解析し、大気圧SEMの生きた細胞への応用の可能性を探る。 2)固定した動物組織において、大気圧SEMを効果的に利用できる方法を解析する。すなわち、試料の表面を大気圧SEMに適した扁平な状態にする方法、SEM観察に不適切な表面の水分を排除するための方法の検討(イオン液体の使用など)、を通して、この手法が病理組織の迅速診断等に活用できるか、その将来性を探る。
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Causes of Carryover |
今年度の計画において購入する予定だった顕微鏡資材が、予定より少なく済み、また発表のための外国旅費と打ち合わせ旅費を使わずに終わったため、今年度の使用額が予定より縮小した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、若干修正した企画に基づいて、顕微鏡資材や薬品の購入が増すと考えられる。また、研究の更なる推進のために、研究打ち合わせや学会発表などに旅費を利用したい。
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Research Products
(2 results)