2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K15013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
篠原 美都 京都大学, 医学研究科, 助教 (10372591)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 幹細胞 / 精巣 / ライディッヒ細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
精巣の間質に局在する Leydig細胞は数が乏しいため、その起源や機能の多くが明らかでない。近年生殖細胞だけでなくLeydig細胞も幹細胞システムから成ることが明らかになった。また一方でLeydig細胞の局在が、精子幹細胞の生息する微小環境ニッシェの位置を決めるという仮説が提唱されるなど、精巣におけるLeydig細胞の重要性が注目されている。しかしLeydig細胞は精巣内での頻度が低く、また長期に試験管内で維持することが難しいため、その機能解析は進んでいない。そこで本研究ではLeydig幹細胞を試験管内で増幅する長期培養系の確立を目指した。 これまでの研究で、Leydig 幹細胞を濃縮するためHoechst 色素の排出能に基づく、いわゆるside population (SP)分画を採取し試験管にて培養した。無血清培地にて培養開始から2週間後に免疫染色を行って調べたところ、Leydig細胞のマーカーであるPDGF受容体の発現が一部の細胞に認められた。一方、ステロイド産生に関わるcytochrome P450 side chain cleavage (P450scc)については発現レベルが低いものの、一部で発現が認められた。次にLeydig培養細胞が試験管内で増幅しているか否かを調べるため、培養開始から2週間後と4週間後でPDGF受容体の発現細胞の数を免疫染色により測定し、比較を行ったところ、4週間後では2週間後に比較してむしろ減少していた。Leydig細胞の試験管内増幅に効率改善を目指し、マウスの週齢や培養液の組成・細胞外マトリクスなど、培養条件の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で、Leydig 幹細胞を濃縮するためHoechst 色素の排出能に基づく、いわゆるside population (SP)分画を、停留睾丸(cryptorchid: haploidの生殖細胞がないため、よりLeydig細胞が濃縮されている)から採取した。この細胞集団を様々な条件にて培養し、試験管内の増幅を目指した。DMEM, IMDM, DMEM/F12, alfa-MEMなど各種の培地をベースに無血清培地を作成して試した。EGF, FGF2, PDGFなどのサイトカインや、Tissue culture-coated plateまたは細胞外マトリクスとしてlamininもしくはcollagenにてコートしたプレートなどを試した。 Leydig培養細胞について、 ステロイド産生に関わるcytochrome P450 side chain cleavage (P450scc)や、PDGF受容体などLeydig細胞のマーカーの発現の有無を免疫染色にて調べた。Lamininコートした培養皿にて、培養開始から2週間後に免疫染色にて調べたところ、Leydig細胞のマーカーであるPDGF受容体の発現が一部の細胞に認められた。一方、cytochrome P450 side chain cleavage (P450scc)については発現レベルが低いものの、一部で発現が認められた。 Leydig培養細胞が試験管内で増幅しているか否かを調べるため、培養開始から2週間後と4週間後でPDGF受容体の発現細胞の数を免疫染色により測定し、比較を行ったところ、4週間後では2週間後に比較してむしろ減少していた。そこで、Leydig細胞の試験管内増幅に効率改善を目指し、培養条件の検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
Leydig細胞を試験管内で2週間以上維持できることが分かった。今後の研究ではまず、培養細胞がLeydig幹細胞であるか否かを移植によって解明する。野生型マウスやc-Kit分子欠損により先天的に内因性の精子形成が欠損したWマウスの精巣の間質に、Leydig培養細胞(ROSA26マウス由来、もしくはGreen マウス由来)をmicropipette を用いて注入する。移植後2-3ヶ月でホスト精巣摘出し、LacZ 染色もしくはUV照射にてドナー細胞由来のコロニー形成が間質に認められるか調べる。また免疫組織染色によりLeydig 細胞マーカーPDGFRA発現の有無を調べるとともに、Ki67抗原の発現を観察し、増殖活性を判定する。またドナー細胞のステロイド産生能を調べるため、抗P450scc抗体にて免疫染色を行う。 またLeydig細胞を試験管内で長期に増幅させるため、培養条件の検討を前年度に引き続き行う。フィーダー細胞との共培養やマウスの日齢を検討するとともに、化合物ライブラリーなどを用いて、増殖を促す因子のスクリーニングを行う。 さらに、上記によりLeydig 細胞の長期培養に成功した場合、LH受容体ノックアウトマウスをホストとして、精巣の間質にLeydig培養細胞(ROSA26マウス由来、もしくはGreen マウス由来)を移植する。移植後2-3ヶ月でホスト精巣を摘出し、LacZ 染色もしくはUV照射にてドナー細胞由来のコロニー形成が間質に認められるか調べる。移植精巣を胎児型および成体型Leydig 細胞マーカーの3b-HSDと、成体型Leydig 細胞のみのマーカーである11b-HSDへの抗体を用いて免疫組織染色を行い、ドナー細胞が成体型として機能しているか否かを判定する。また、精巣の組織像から、精子形成が回復するか否かを判定する。
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