2016 Fiscal Year Annual Research Report
Cellular plasticity of OCT4 expressing somatic cells
Project/Area Number |
15K15016
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小阪 美津子 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (50270476)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 体性組織幹細胞 / がん / 可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はヒトおよびマウスOct4遺伝子の転写産物の詳細な解析を実施し、この遺伝子には種々の新規および既知のtranscript variantsが存在することを明らかにしてきた。これらの結果に基づき、Oct4発現細胞の系譜追跡が可能となるための遺伝子コンストラクトを複数作製した。発現細胞の可視化が可能であることは、発現細胞株(PA1)を用いて遺伝子導入を試みることで確認した。 また、がんにおける機能を知る目的で、Oct4遺伝子の発現とヒト体細胞がんとの関連を調査した。ヒトゲノム上には多くのOCT4偽遺伝子が存在しており、それらを全て排除できる特異的検出方法をまず確立した(特許出願中)。その方法で、ヒトがん細胞での発現を再調査した結果、A型variantとB型variant共にヒトがん細胞の多くで発現することを確認し、また悪性度の高いがん細胞で高発現の傾向にあることが判明した。 さらに、これまでにマウス眼組織虹彩および網膜に発現細胞が存在することを報告しており、それらの細胞の可塑性についてin vitro培養系を用いて更に検証を進めた結果、想定以上の幅広い多分化能性を持つことが分かった。 これらの萌芽的研究成果から、Oct4発現体細胞が周囲の分化細胞とは明らかに異なる分子基盤を持ち分化多能性を発揮しうる特殊な細胞である可能性が更に高まった。さらに最近、成人の特定の体性組織において有意な発現を示すことを見出し、成体マウスとは異なるという興味深い事実が判明した。マウスとヒトでは少なくとも体細胞におけるOct4の発現様式が明確に異なることは想定外の事実であり、重要な知見と考える。引き続きOct4発現体細胞の挙動を追跡することはヒトにおけるがんの発生や組織維持の機構を考える上で有意義だと考える。
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Research Products
(2 results)