2015 Fiscal Year Research-status Report
エレクトロポレーション法による時間・空間特異的な遺伝子発現制御系の確立
Project/Area Number |
15K15020
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
人見 次郎 岩手医科大学, 医学部, 教授 (00218728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 英二 岩手医科大学, 医学部, 講師 (50405750)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 遺伝子導入 / エレクトロポレーション / ゼブラフィッシュ / 脈管形成 / 血管新生 / 血管内皮細胞 / 形態形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳血管系がいかなる過程をへて形成されるか、我々は小型魚類のゼブラフィッシュを用いてその初期過程の全容をタイムラプス法を用いて詳細に解析した。その結果、眼胞嘴側に動脈性の、眼胞と耳胞の間の神経管の外側領域に静脈性の血管床がまず形成されて、そこからの血管新生によって 脳血管系が構築される過程を明らかにした。しかしながら、この過程が個体内においてどのような分子機構により制御されているのか、いまだ不明のままである。この状態を打破するためには、時間・空間特異的に個体内で遺伝子を操作する方法の開発が必須である。そこで本研究では、発生過程にあるゼブラフィッシュ胚に微量インジェクションした核酸を、エレクトロポレーション法を用いて細胞内へ取り込ませることで遺伝子発現を制御する実験系の確立に挑戦する。本方法を確立することで個体自体を実験の場とし、形態形成に関与する新たな分子機構を明らかにすることを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
27年度には、まずは エレクトロポレーターを購入し、遺伝子導入実験が可能な環境のセットアップを行い、全身性に遺伝子発現するbactin遺伝子のプロモーターに緑色蛍光蛋白質(EGFP)をつなげたplasimidを作成した。そして このplasmidを用いて、エレクトロポレーション法による効率的な遺伝子導入条件を探索した。遺伝子導入の成否は、発現したEGFPの蛍光で判断した。当初は、アガロースに包埋した胚は、マイナス極のタングステン電極をインジェクション用のガラス針の中に差し入れ、プラス極の電極はサンプルを包埋したゲルの下層にシート状に設置する方法で、遺伝子導入を試みたが、ある程度の太さにガラス管の先端を削らないと十分な電流が流れないことが判明した。そこで、従来通りの白金電極を用いた方法で、条件検討を試みた。使用する胚が生存可能な電圧の上限を探索し、その後 実際にplasimid DNAのインジェクションを行ったあとに電圧負荷をかけて導入を試みた。しかしながら27年度中に、遺伝子導入を成功することはできず、次年度以降に更なる条件検討を進めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は、継続して効率的に遺伝子導入可能な条件検討をまずは進めていく。必要に応じて、アフリカツメガエルやニワトリ胚子、マウス胚子での遺伝子導入実績をもつ研究室と共同で進めていく。導入条件を確立でき次第、血管系、神経組織、網膜組織、神経堤細胞特異的に血管系の動静脈分化や形態形成への関与が報告されている遺伝子をそれぞれ導入し、異所的な強制発現による影響を評価する。また並行して血管系・神経組織・神経堤細胞・網膜組織での特異的な遺伝子発現を制御するDNA コンストラクトをそれぞれ作製する。P2A 配列を介することで上流の蛍光タンパクと下流の機能遺伝子を同時に発現させる系を確立する。遺伝子導入に成功した胚は、その後の血管系の動静脈分化や形態形成への影響を評価する。特に本研究では、その観察対象領域として、9-15 体節期に認められる最初の動脈性血管床、静脈性血管床の発生分化、そこからの血管新生による脳底動脈輪の形成に注目して、遺伝子操作による影響を共焦点レーザー顕微鏡により観察する。
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Causes of Carryover |
計画に遅延が生じたため、残額が10万円程発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記のごとく繰越金額は10万円程であり、28年度の予算と合わせて使用する。28年度の研究費は遺伝子破壊体作成のために科研費使用のルールを厳守して使用していく。
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