2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K15027
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
白川 英樹 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (40241070)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | イノシトール三リン酸 / オプトジェネティクス / 細胞内カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は研究実施計画の通り、光活性型イノシトール三リン酸(IP3)産生酵素の作成および蛍光性IP3プローブの改良を試みた。 前者については、ヒトPLCζおよびフォトトロピン由来の光活性化ドメインLOV2をベースとして、主としてリンカー部位挿入型の組換えタンパク質を10通り以上作成し、それぞれの光依存的活性について、マウス卵におけるCa2+遊離誘発活性に基づき評価した。その結果、幾つかのもので光依存的活性化が確認され、方法論としての有効性が示された。ただし活性のオン・オフの切換が必ずしもシャープではなく、さらなる改良が必要である。 一方後者については、FRETのドナー・アクセプターとなる蛍光タンパク質として、ECFPとVenus、およびそれらの循環置換型変異体やC末端部位の欠失変異体、TagGFP2やTagRFPなどを、計16通りの組み合わせで用いたIP3プローブを作成し、それぞれのIP3濃度依存的FRETシグナルの変化のダイナミックレンジや測定画像のS/N比等を、従来型蛍光顕微鏡および共焦点レーザー顕微鏡による測定系で検討した。その結果、TagGFP2とTagRFPをベースとしたものの1つが、青色光励起において、従来のプローブとほぼ同程度のパフォーマンスを示すことが確認された。しかしIP3依存的なFRETシグナルの変化率はまだ十分とはいえず、特にプローブのIP3親和性についての再検討が必要である。 測定ベースとなる光学系については、平成28年度から作成を開始する予定のIP3産生酵素の評価のため、赤色光および近赤外光の照射を可能とする光学系を新たに組み込んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に計画していた光活性型IP3産生酵素の作成および蛍光性IP3プローブの改良について、当初の計画通りに進めた結果、いずれも最終的に目指すIP3クランプ法に用いるにはまだ性能が十分ではないものの、予想した機能を持つ組換えタンパク質を得ることができた。他のデザインに基づくIP3産生酵素やIP3プローブ、および光活性型 IP3分解酵素を作成・評価するための準備もほぼ完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
光活性型IP3産生酵素については、リンカー挿入型以外のデザインに基づくものや、赤色光や近赤外光で制御するタイプのものの作成及び評価を進める。また同様に光活性型IP3分解酵素の作成・評価も進める。高親和性型のIP3プローブを作成した上で、これらを組み合わせて用いることにより、IP3クランプシステムの構築を目指す。
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