2015 Fiscal Year Annual Research Report
細胞周期特性を利用した腸管幹細胞の純化と再生医療への応用
Project/Area Number |
15K15032
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
武石 昭一郎 九州大学, 生体防御医学研究所, 研究員 (10647720)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 体性幹細胞 / 腸管幹細胞 / 細胞周期 / 静止期 / CDKインヒビター / p57 / Bmi1 / Lgr5 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸管幹細胞のマーカーとしてBmi1とLgr5が知られており、過去の研究でBmi1陽性細胞の方がLgr5陽性細胞よりも未分化な状態にあることが報告されている。そこで、FACSを用いてBmi1-GFPおよびLgr5-GFPマウスの腸管細胞からBmi1またはLgr5を発現している細胞を採取し、リアルタイムPCR法でこれらの細胞集団におけるCDKインヒビターp57のmRNA量を調べた。すると、p57はBmi1陽性細胞に多く発現しているのに対して、Lgr5陽性細胞にはほとんど発現していないことが明らかになった。次に、Villin-CreER/p57 floxマウスを作製し、タモキシフェンを投与して腸管においてp57を欠損させると、Bmi1陽性細胞が静止期から増殖期へと誘導された。さらに、5-FUを投与して腸管に傷害を加えた場合、野生型よりもp57を欠損させたマウスの方がcryptの数が減少し、腸管壁が菲薄化することが判明した。これらの結果は、p57が腸管幹細胞を静止期に維持しており、この細胞集団を侵襲から防御していることを示している。傷害を受けた腸管が再生する過程で、腸管幹細胞は一時的に増殖期に入り分化細胞を生み出すが、興味深いことにこの増殖期に入る時期ではBmi1陽性細胞におけるp57の発現量が低下していた。 次に、Bmi1陽性細胞からさらに腸管幹細胞を純化するために、この細胞集団とp57陽性細胞の関係を詳細に調べた。Bmi1とp57の免疫染色からp57陽性細胞の方が数が少ないことが分かり、Bmi1陽性細胞よりもさらに未分化な状態なのではないかと考えられた。この仮説をp57陽性細胞の系統追跡実験により検証するため、この実験に必要なp57可視化マウスならびにp57プロモーター下にCreERを組み込んだトランスジェニックマウスを作製した。
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