2016 Fiscal Year Annual Research Report
Analyses of structural rearrangements of membrane proteins by fluorescent unnatural amino acid scanning
Project/Area Number |
15K15036
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
久保 義弘 生理学研究所, 分子細胞生理研究領域, 教授 (80211887)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 蛍光非天然アミノ酸 / 動的構造変化 / ATP受容体 / P2X2 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラベルした蛍光物質の蛍光強度の変化によってイオンチャネルの動的構造変化を捉える研究手法は極めて有効である。中でも、蛍光非天然アミノ酸(fUAA)を取り込ませる方法は、かさばりが小さく、また膜貫通部位等あらゆる領域のアミノ酸を特異的に蛍光ラベルできるため、近年着目されている。昨年度に引き続き、様々な条件検討を進めてようやく方法論を確立し、ATP受容体チャネルP2X2の示すATPおよび膜電位によるゲーティングを対象として実験を行い、以下の知見を得た。 1.ATP結合領域、膜貫通領域 TM1および TM2、両者をつなぐリンカー領域の多くのアミノ酸残基の位置に導入したfUAAが ATP投与に伴う蛍光強度の変化を示した。このことから、ATP結合に伴うグローバルな構造変化が示された。 2.その中で、TM1のSer53およびSer54の位置、TM2のAla335の位置に導入した場合、ATP投与による電流の活性化に比して蛍光強度の変化の速度は緩徐であった。チャネルの活性化自体ではなく、それに続くポアの拡大現象を反映している可能性が想定された。 3.TM1 の Val51、TM2 の Ila341 および Phe346 の位置に導入した場合、P2X2の膜上での発現密度に依存して、蛍光変化の方向(減弱/増加)の違いが観察された。これは発現密度に依存する構造変化を示唆するが、アーチファクトである可能性もあるため慎重に解析を進めている。 4.一方、膜電位変化に伴う変化はほとんどの部位で観察されなかった。その中で、TM2のThr339の位置で、わずかながらも確実な変化が捉えられた。このことからP2X2が典型的な膜電位センサーを有しないものの膜電位に依存する構造変化を起こすことが示された。
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