2015 Fiscal Year Research-status Report
シナプス分子のナノ配置の可視化解析から迫る自閉症病態メカニズム
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15K15048
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
並木 繁行 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90452193)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自閉症 / シナプス / 超解像イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症は、社会性やコミュニケーション能力、固執傾向の異常を示す先天性の精神疾患である。これまでに自閉症患者のゲノム解析によって多くの自閉症関連分子候補が同定され、シナプス機能異常につながることが報告されているが、その分子メカニズムは未解明である。本研究では「自閉症の発症にはシナプス分子の微細配置の破綻によって生じるシナプス機能の変容が鍵となっている」との仮説を複数の自閉症モデルマウスの解析によって実証するとともに、微細配置の形成・維持の分子メカニズムを明らかにすることを目的とする。本年度では自閉症モデルマウスの凍結切片標本を用いて、大脳皮質、海馬、線条体、小脳で生じているシナプス分子の配置をStochastic optical reconstruction(STORM)顕微鏡を用いてナノメートルスケールの解像度で解析するために、野生型マウス由来の凍結脳切片を用いて最適な凍結切片の作成法、抗体の選定、染色プロトコル、顕微鏡の光学系設定の最適化を行い、対象分子に特異的な蛍光シグナルが高いシグナル/ノイズ比で得られるようにした。STORMイメージングでの解析対象分子として、まずプレシナプスに局在するシナプス小胞の輸送・開口放出関連分子(Munc13、RIM-1、Rabファミリータンパク質など)、ポストシナプスの受容体やイオンチャネル(グルタミン酸受容体、GABA受容体、カルシウムチャネルなど)、シナプス接着分子(Neuroligin、 Neurexinなど)、スキャホールドタンパク質であるPSD95とPSD95との結合が報告されている分子を対象として、共焦点レーザー顕微鏡を用いた観察によって標本作製の条件の最適化作業を進めた。さらに、グルタミン酸受容体のGluA1サブユニットを対象として、STORMイメージングを開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自閉症モデルマウスの導入が順調に進み、脳内でのシナプス分子の発現パターンの解析法の構築が完了した。また、Shank3ノックアウトマウスのシナプス分子の解析が計画通り開始できた。
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Strategy for Future Research Activity |
自閉症モデルマウスにおいてシナプス分子の発現パターンの異常を同定する。異常が見られた分子、部位については超解像顕微鏡を用いてナノスケールの空間解像度でより詳細にシナプス分子の配置の異常について調べる。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた一部のシナプス分子の抗体については所属研究室にて優れた性能を有するモノクローナル抗体の作製に成功し、購入を見送ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
超解像イメージングの条件設定が順調に推移しているため、解析対象とする分子を拡張することとし、抗体の購入、作製費用として使用する。
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Research Products
(2 results)