2015 Fiscal Year Research-status Report
生体肝臓由来3次元scaffoldを用いた臓器形成と移植グラフトとしての可能性
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15K15065
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安近 健太郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00378895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上本 伸二 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40252449)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 再生医学 / 人工肝臓 / 胎仔肝前駆細胞 / 脱細胞化肝臓 / 再細胞化 |
Outline of Annual Research Achievements |
<細胞の再細胞化>既に我々が確立したプロトコールを用いてマウス胎仔肝前駆細胞を初代培養するとともに、成体肝細胞を初代培養したうえで、それぞれの細胞群をseeding systemを用いて経門脈的に脱細胞化肝臓へ注入した。システムはポンプ、バブルトラップ、脱細胞化肝臓を入れた培養皿から構成した。適切な再細胞化プロトコールを決定するにあたり培養液の組成、循環させる培養液の速度、細胞混濁液の濃度、細胞注入の速度、注入回数、など複数の条件を比較検討し、至適条件を決定した。成熟肝細胞の場合、細胞径が大きく門脈壁を通過させて実質腔へ移動させる際に培養液の流速を上げて物理的な力を加える必要があったが、胎児肝細胞の場合は細胞が小さいため、容易に実質腔に移動させることが出来、成体肝細胞よりも良好な再細胞化結果を獲得した。さらに、経胆管的に再細胞化する方法も検証中であり、新しいプロトコー最適なプロトコールの立案を進めている。 <循環培養>再細胞化した肝臓を閉鎖回路循環培養システムに移し、37℃で3日間培養した。培養液は毎日交換し、培地中のアルブミンを測定することで肝細胞の機能及びviabilityの評価を行った。培養期間を順次延長し、7日間の循環培養に成功した。 <最適プロトコール評価>肝臓を10カ所に分割し、各エリアで無作為に門脈を50カ所選び、細胞が血管外へ移動している管空の割合を計算した。また、再細胞化肝臓に対してH&E染色・DAPI・TUNEL染色を施行し、DAPI陽性かつTUNEL陰性細胞をviableと判断することにより実質腔に移動している肝細胞のviabilityを計算した。成体肝細胞よりも胎仔肝細胞による再細胞化のほうが長期培養によるviability低下が少ないことが確認できた。 <内皮・間葉系細胞との共培養>ラット類洞内皮の初代培養を行うとともにヒト血管内皮細胞(HUVEC)を培養し、それぞれとの共培養を検証中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当研究室においてはマウス胎仔肝前駆細胞分離やその特性解析を長年にわたり遂行しており、実験プロトコールが確立していたことやこれまでの再生医科学研究所との共同研究におけるES細胞分化誘導実験の経験から、分化細胞のみならず未分化細胞の取り扱いに十分習熟していたこと、さらにはこれまでの細胞移植研究の経験から、本研究における細胞培養や脱細胞化肝臓への細胞注入(移植)実験を大きな問題なく遂行できたため、上記研究実績の概要で述べた通り、交付申請時に予定していた各研究項目を順調に進行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
<再細胞化肝臓の移植へ向けた血液灌流と肝細胞機能評価> 再細胞化肝臓を生体に移植した場合、ヘパリン化しただけでは血小板凝集にて直ぐに血栓形成が起こり、肝臓内の血流を維持できない。また抗血小板抗体を用いると、出血のコントロールが出来ずに失血死を来すことが報告されている(Basak et al, Nature Medicine 2010)。 まずin vitroの実験系で、再細胞化肝臓内部における血栓形成能を評価する。ラット頸動脈あるいは門脈と再細胞化肝臓を体外循環回路で接続して血液還流した後、血栓形成を組織学的に評価する。血栓形成抑制には血管内皮・類洞内皮細胞の被覆が必要と考えられるため、血管内皮細胞株やラット血管内皮・類洞内皮を密度勾配遠心法により分離培養し、これらの再細胞化を検証する。血管内皮・類洞内皮の再細胞化および血栓形成抑制が得られるようなら、肝切除とレトロルシン投与による肝障害ラットに対して再細胞化肝臓を体外循環型人工肝臓として利用できるかどうかを検証する。さらに、レシピエントのラットの右腎臓を摘出してスペースを確保した後、ドナーラット肝臓の門脈をレシピエント門脈本幹に、ドナーラット肝臓の下大静脈をレシピエント下大静脈に接続する生体肝移植モデルを作製する。手技が安定したところで、レシピエントラットに無アルブミンラット(Nagase rat)を用いてコントロール実験のデータを集め、その後再細胞化肝臓を移植し、レシピエントラットの血清アルブミン濃度を測定する。再細胞化肝臓の機能評価は、無アルブミンラットの血清アルブミン濃度を、生体肝臓の移植時と比較することで行う。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] Fetal hepatocyte as a cell source of liver tissue engineering using a decellularized matrix2015
Author(s)
Satoshi Ogiso、Kentaro Yasuchika, Ken Fukumitsu, Hidenobu Kojima, Yuya Miyauchi, Ryuya Yamaoka, Hokahiro Katayama, Takayuki Kawai, Elena Yoshitoshi, Sadahiko Kita, Katsutaro Yasuda, Shinji Uemoto
Organizer
The 50th international liver congress 2015, European Association for the Study of the Liver
Place of Presentation
Vienna, Austria
Year and Date
2015-04-22 – 2015-04-26
Int'l Joint Research