2016 Fiscal Year Research-status Report
細胞膜構造の可逆的光応答による興奮性細胞活動の非接触制御
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15K15072
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
馬籠 信之 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (70390052)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 心筋細胞 / 光感受性 / 光制御 / 細胞膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに、光によって細胞膜の物性が可逆的に変化することや、その物性の変化に伴なって物質の移送が可能であること、また、心筋細胞以外の細胞へも応用可能であり、かなり広範囲の細胞に対して影響を与えることが可能であることを示した。当該年度においては、これらの結果を踏まえ、研究計画に則り、その応用展開を計った。具体的には下記の通りであるが、発表前であるため、詳細については省かせていただく。 (1)哺乳類以外の細胞について光応答性があることを確認し、マイクロアクチュエーターへの応用できることを確認した。このテーマについては論文投稿準備中である。 (2)培養細胞だけでなく、実際の心臓から取得したばかりの細胞について、可逆的な光応答性を示すことを実験的に確認した。この結果は、培養細胞だけでなく、器官としての心臓全体の活動を光で制御することの可能性を示すものである。この部分についても、論文投稿準備中である。 (3)細胞膜の物性変化を利用し、様々な化学物質の膜透過の光制御に関する実験を共同で開始した。細胞膜の物質透過については様々な手法が知られているため、既知の手法との比較と、移送効率について検討している。 なお、当初の予定よりも論文発表が遅れていること、および、予備的ではあるが、部分的には当初の計画以上に進捗する可能性を見出したため、より詳細なデータを取る必要があると判断し、研究期間を1年延長することで、さらに研究の完成度を高めていくこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞膜構造変化に伴なう物質移送については、概ね、当初の計画通りに進捗がみられた。しかしながら、論文化が当初の予定より遅れている。また、本研究の申請段階では「将来的な応用」としていた「物質輸送制御系の構築」を開始した。これらのことから、研究期間を一年間延長することとした。 従って、研究の発表については予定よりも遅れているが、その内容は計画以上に進んでおり、これらを鑑みると、総合的に「おおむね順調」と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、期間延長に伴ない、これまでに得られた成果2件について、早急に論文として発表を進める。同時に、膜透過性に関する実験を進めており、こちらもある程度の結果が得られたならば、研究成果として論文化へ進めたい。 また、研究自体の今後については、細胞膜自体の物性を変化させることから、ドラッグデリバリーシステムなどへ発展させることが考えられる。
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Causes of Carryover |
下記の理由により、研究期間の延長を行なう。 (1)研究により得られた成果を発表するための論文2報を作成中であるため。 (2)申請段階では「将来的な展望」として計画していた研究内容について、計画を大きく前倒しして実験の実施を始めた。現在は予備的な実験を繰り返しているところであり、より確実な研究成果を得たいと考えているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定している計画は下記の通りである。 (1)早急な出版のためのオープンアクセスジャーナルへの投稿料、(2)細胞培養試薬類の購入、(3)観察機材の部品の購入
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