2015 Fiscal Year Research-status Report
異種動物のin vivo環境を利用してヒト臓器を再構成する
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15K15074
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
清野 透 国立研究開発法人国立がん研究センター, その他部局等, その他 (10186356)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 上皮幹細胞 / 再生 / がん化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は異種動物の体内環境を利用して、ヒト由来の正常上皮細胞から機能的な高次組織を再構築する系の開発を行う。これまでの研究成果を基に、研究期間内に以下のことを明らかにする。 これまでに、ヒト正常膵管上皮細胞の他に、胆管上皮細胞・胆嚢上皮細胞・大腸上皮細胞・肺胞上皮細胞を単離し、HPV16 E6E7, MYC, 活性型RAS遺伝子(EMR)をtetOffシステムで導入後in vitroで安定して培養できることを確認した。樹立した細胞をマウス皮下に移植すると、EMR遺伝子を発現誘導した時のみ腫瘍を形成した。腫瘍形成後ENR遺伝子をDOXの飲水添加によりシャットオフすることで、それぞれの正常組織に対応した組織構造が形成される事を確認した。一部については再構築されたヒト組織の構成細胞を免疫組織化学的に解析し、正常組織と同様の分化特異的遺伝子の発現が確認できた。 新たに正常肝より肝実質細胞の長期培養法を確立し、CDK4, cyclin D1, TERTの導入後は通常培地で培養可能であることを確認した。また、HPV16 E6E7, MYC, 活性型RAS遺伝子(EMR)をtetOffシステムで導入後in vitroで安定して培養できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種々のヒト上皮幹細胞の分離培養法の改良に成功し、ほぼ任意のヒト上皮細胞を長期培養できるようになった。これらをCDK4, cyclin D1, TERTの導入により不死化すること、HPV16 E6E7, MYC, 活性型RAS遺伝子(EMR)をtetOffシステムによる導入によりコンディショナルに不死化(がん化)できるようになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
肝内胆管、血管内皮由来と思われる細胞の分離にも成功しており、来年度は混合培養によるスフェロイド形成とマウス移植によるヒト肝臓の高次組織構造の再構築を試みる予定である。膵臓のベータ細胞についても初期培養後、長期間維持培養することにも成功している。しかしインシュリン産生能を確認できないため、膵臓の高次構造の再構築のためにはさらなる培養法の改良が必要だと考えている。最近iPSよりインシュリン産生細胞の生成と移植によるインシュリン産生が報告されており、これらを参考に成人ヒトベータ細胞の培養とコンディショナルな不死化(がん化)を進め、肝臓、膵臓の高次構造の再構築を優先して進めたい。
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Causes of Carryover |
多数の免疫不全動物への移植を予定し70万円を前倒し請求ていたが、細胞培養法に進展があり今年度は細胞株の樹立を中心に進めたため、物品費の使用が少なくて済んだ。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞株の樹立と解析は計画以上に進行しているため、前年度にできなかった樹立した細胞株の免疫不全動物への移植を中心に計画を進める。
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