2015 Fiscal Year Research-status Report
慢性腎不全が誘発する脳機能障害における核酸の酸化損傷とその防御機構の関与の解明
Project/Area Number |
15K15085
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中別府 雄作 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (30180350)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 慢性腎不全 / MTH1 / OGG1 / 8-オキソグアニン |
Outline of Annual Research Achievements |
① 慢性腎不全マウスモデルの作製と腎不全の解析 8週齢のC57BL6/Jオスマウスで左腎動脈結紮と右腎の部分腎臓摘出(6分の5摘出)による腎不全モデルを作製し、解析した。慢性腎不全の重症度は、手術から8週間後に採取した血液より血清尿素窒素を指標として確認した。部分腎臓摘出群では血清尿素窒素値が80mg/dL前後まで上昇しており、偽手術群(20 mg/dL前後)に比べて腎機能が著しく増悪していることを確認した。 ② 8-oxo-dGTP分解酵素 MTH1と8-オキソグアニン(8-oxoG)の除去修復酵素 OGG1の欠損が、慢性腎不全の発症と行動に及ぼす影響を評価するために、オスのMTH1/OGG1ダブルノックアウトマウスと同腹由来の野生型マウスを繁殖、準備し、8週齢の時点で部分腎臓摘出を行って慢性腎不全モデルマウスを作製し、解析した。部分腎臓摘出群はMTH1/OGG1ダブルノックアウトマウスと野生型マウスともに、偽手術群と比べて有意に腎機能が増悪していることが確認された。また、部分腎臓摘出群では、MTH1/OGG1ダブルノックアウトマウスと野生型マウスともに血清尿素窒素値が80mg/dL前後で、同程度の腎機能障害が認められた。 ③ 認知機能を評価するための行動解析として、手術後4週から8週までにオープンフィールド課題、モリス水迷路課題、ロータロッド課題を行った。 モリス水迷路課題においては、プローブテストを用いて短期・長期記憶を評価する2日間のプロトコル、作業学習記憶を評価する5日間のプロトコル、可視化プラットホームを用いて遊泳能力や視力の問題がないことを確認するための3日間のプロトコルを用いた。モリス水迷路課題2日間、5日間いずれのプロトコルでもMTH1/OGG1ダブルノックアウトマウスと野生型マウスのいずれにおいても偽手術群と部分腎臓摘出群では有意な差を認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
慢性腎不全モデルをMTH1/OGG1ダブルノックアウトマウスで作製し、行動解析まで終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、マウスを解剖し、脳組織の病理解析を進行中である。慢性腎不全が脳の病理にどのような影響を及ぼすのか、8-オキソグアニンの蓄積と神経変性、炎症応答などに注目して、野生型マウスとMTH1/OGG1ダブルノックアウトマウスの比較解析を実施する。
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Causes of Carryover |
マウスの行動解析に時間がかかり、脳組織の病理解析まで実施できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マウス脳の病理解析のため抗体等の購入と実験補助員の雇用を計画している。
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Research Products
(5 results)