2016 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of ATL development dependent on abnormalities of intestinal flora
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15K15087
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
森下 和広 宮崎大学, 医学部, 教授 (80260321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中畑 新吾 宮崎大学, 医学部, 助教 (80437938)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 腸内細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
成人T細胞白血病 (ATL)は、HTLV1感染を原因とする血液疾患で、その発症には、約40年といった長期の潜伏期間が必要である。ウイルス蛋白質TaxまたはHBZは、HTLV1感染細胞の増殖を促し、一方で、Taxを標的とした細胞傷害性T細胞は、その増殖を抑えている。ATLでは、日和見感染などの免疫機能の低下が顕著であり、さらに、キャリアでも日和見感染が見られている事から、免疫低下とATL発症との関連が示唆される。 腸内細菌は、免疫系の維持に重要な役割を果たしており、その破綻は、自己免疫疾患など様々な疾患の発症に関係している。腸内細菌叢と腸管の免疫細胞は相互作用し、均衡のとれた免疫系を維持しており、どちらか一方で異常を来した場合、もう一方も正常を維持できなくなり、相乗的に病態な状態となる。 本研究では、ATLの発症過程において、腸内細菌叢の異常が起こっているのかどうか、腸内細菌叢とATL発症との関連を明らかにし、発症予防や新たな診断・治療法の開発につなげることを目的としている。今回、ATLL患者16例および健常者11例の糞便を用いて、16SrDNAの次世代シークエンスによる腸内細菌叢の網羅的解析を行った。その結果、ATL患者の腸内細菌叢では、NK細胞などの働きに重要なビフィドバクテリウムが全体的に減少しており、悪玉菌として知られるクレブシエラ属が増加していた。さらに、腸内の優勢菌であり、日和見菌としても知られるバクテロイデス属が増加し、免疫抑制作用を持つ制御性T細胞の増殖を促進するクロストリジウムもまた顕著に増加していた。 これらの結果は、ATL患者において腸内細菌叢は異常を来しており、免疫機能の低下をもたらす原因のひとつとなっている可能性が示唆された。
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