2016 Fiscal Year Annual Research Report
Role of ERAP1 in the pathogenesis of mental disorders
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15K15088
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
辻本 雅文 帝京平成大学, 薬学部, 教授 (00281668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 明 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (50300893)
後藤 芳邦 帝京平成大学, 薬学部, 講師 (90455345)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 小胞体アミノペプチダーゼ / セロトニン / 遺伝子欠損マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちはこれまでにERAP1遺伝子欠損がストレス耐性および活動期行動量の低下や不安レベルの亢進を誘導することを見出していた。これらの結果からERAP1遺伝子欠損マウスは精神障害を発症していると考えられた。 ERAP1+/+および-/-マウスを用いた3チャンバーテストからERAP1-/-マウスの社会性を検討した結果、両マウスの侵入者マウス部屋滞在時間に差異は認められなかったが、ERAP1-/-マウスのスナッフィング時間はERAP1+/+マウスのそれと比べて30%程度の低下が認められた。 次に、ERAP1-/-マウスの脳内神経伝達物質量(モノアミン、アミノ酸、BDNF量)についてERAP1+/+マウスと比較解析を行ったところ、セロトニン量はERAP1遺伝子欠損に伴い2倍程度上昇した。一部の不安障害やセロトニン過剰症で認められるようにセロトニン過剰は、不安や興奮、混乱などを引き起こす。本結果は、ERAP1-/-マウスの行動異常(精神障害)がセロトニン過剰に起因することを示している。そこで次に、セロトニン過剰の分子機構を明らかにすべく、全脳由来cDNAを用いたReal Time-PCRを利用し、原因遺伝子を探索した。その結果、ERAP1-/-マウスではERAP1+/+マウスより高いレベルでセロトニン合成遺伝子であるTPH2(約2倍)、DDC(約1.3倍)の発現が認められた。一方、その他代謝遺伝子TPH1、MAOA、AA-NATやセロトニン輸送体、受容体(1a、1b、2a、7)の発現には変化が認められなかった。これらの結果は、ERAP1遺伝子欠損が脳内セロトニン合成系を亢進し、セロトニン過剰を誘導することを示唆している。今後、ERAP1によるセロトニン合成遺伝子調節機構を明らかにする。
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