2015 Fiscal Year Research-status Report
イメージサイトメトリーを用いたコピー数多型解析のための細胞調整法の開発
Project/Area Number |
15K15099
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
佐々木 功典 山口大学, その他部局等, 名誉教授 (80116722)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | FISH / コピー数多型(CNV) / 疾患感受性 / イメージサイトメトリー / 遺伝子多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲノムにおけるコピー数多型 (copy number variation: CNV) の少なくとも一部は疾患発症感受性と密接に関連していることが明らかになり、コピー数多型の解析は研究としてのみならず、臨床医学としても注目されるようになっている。ゲノムの一部である遺伝子等のコピー数の定量的解析には種々の方法が開発されているが、細胞レベルでの解析は未だ可能ではなく、精度、操作性ともに問題を抱えている。細胞レベルでの解析が可能となれば、疾患特異CNVを日常診療に利用できるばかりではなく、その情報を疾病予防にも大いに役立てることができる。 細胞レベルでの解析を可能にするためには、細胞調整法の開発が極めて重要であると考え、本プロジェクトではこの課題にフォーカスして研究を行っている。本プロジェクトの基本は、コピー数のカウントにはfluorescence in situ hybiridization (FISH)を利用し、そのシグナル数をカウントすることにある。FISHのシグナルは必ずしも顕微鏡観察に対応できる大きさであるとはかぎらない。そこで、シグナルを大きくすることから開始した。1.先ずは低張液処理により細胞核を膨潤させた。核の膨潤に伴い、FISHシグナルも大きくなり、顕微鏡観察がある程度は可能となった。しかしながら、サイズの小さなCNVはこれだけでは、認識し難い。さらなる処理が必要である。2.タンパク質分解酵素処理は、シグナルの増大とともに蛍光強度を増幅させるが、処理の程度が極めて重要である。過剰の処理は、シグナル強度は大きく増すが、形状が崩れ、数としてのカウントを難しくする。現在は、この条件決めを行っている。 シグナルの増大と蛍光強度の増幅は、その後に続くイメージサイトメトリーによるCNVの自動算定を安価で簡単にする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の当初の目的である細胞核におけるfluorescence in situ hybridization (FISH)の蛍光シグナルを大きくかつ明るくするという課題は完全とはいえないまでも、大きくかつ蛍光強度も増幅できている。安定性という点では現時点では十分ではないが、調整段階というところまでは来ている。そういった観点から、「おおむね順調に進展している。」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目標であるfluorescence in situ hybridization (FISH)の蛍光シグナルを大きくかつ明るくは既に一部では達成できているが、安定的で再現性のあるプロトコルを作成し、多くの研究者に使ってもらえることを目指す。イメージサイトメトリーを組み合わせることにより、極めて安価で信頼性のある臨床検査方法となる。 医療のみではなく、健康産業にも貢献できいると期待している。
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Causes of Carryover |
初年度は予定した高額試薬を予定量使用せずに第1期の目標をほぼ達成することができた。研究のスピードも当初の予定どおりであった。計画以上に進捗しても予算不足にならないように予算を立てた。そこまでは、研究が加速せず(当初の予定は達成したが)、結果的には次年度に予算を繰り越すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定の目標を最終段階まで達成せねばならない次年度に向けてまとめた経費が使えるという利点が生じた点は研究の推進にむしろ大きなメリットとなる。後半の研究が初年度に比較して大きな経費を要することになっており、研究の円滑な進行に利する。特に、DNAプローブは高価であり、研究には大きな助けとなる。
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