2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K15112
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
宮庄 拓 酪農学園大学, 獣医学群, 講師 (50568996)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 動物モデル / LPS / 敗血症 / 肺障害 / モデル構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は①重症度をコントロールできるブタ敗血症モデルの構築と②そのモデルを用いた敗血症の治療デバイスや治療薬の効果を多角的に検証することを目的とした。 まず本年度は、ブタにLPS (lipopolysaccharide:エンドトキシン) を投与して敗血症を作出し、各種モニターによる測定や各種メディエーター測定により、その病態を多角的に検討し、また、病理組織学的および分生生物学的検索を行い、その詳細を調べ、重症度をコントロールできるブタ敗血症モデルを構築することを目標とした。 麻酔下のブタ (体重約30kg、雌) に各種モニターを設置し、実験開始前設定 (EtSev 2.0%前後、PaCO2 30~40mmHg、体温 37.0~39.0℃、呼吸回数 22~24回/分、輸液量 (生食+ベクロニウム) 10mL/kg/hr) に調整し、心拍数、呼吸数、体温、観血的動脈血圧、中心静脈圧、心拍出量および全身血管抵抗、血液ガス等を測定した。LPS (E.coli 055:B5)を静脈内投与し、敗血症モデルを作成した。投与開始前より経時的にCTスキャン撮影、各種測定および血液採取を行った。実験終了後、病理解剖を行い、病理学的に検討した。採取した血液で酸化ストレス、血液凝固能、各種メディエーター等を測定した。 これらの検討項目を総合的に評価しながら、LPSの投与量や投与時間を調節して、その重症度を変化させて検討し、まずは、LPS誘発性敗血症性肺障害モデルの構築に取り組んだ。 検討の結果、80μg/mLのLPSをまず160μg/kg/hr.で75分間、静脈内投与し、その後、80μg/kg/hr.で、肺障害があるとされるP/F比(PaO2/FiO2)が300以下になるまで投与し続け、P/F比300を切ってから30分間そのまま投与することで、LPS誘発性敗血症性肺障害を作出し得ることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は重症度をコントロール出来るモデルの構築を目指したが、まずは重症度の高いモデルの明確な確立が必要と考えて取り組み、その条件検討の段階での様々なデータの解析、精査に時間を要し、検討頭数も増えたため、多少の遅れが生じている。 しかしその結果、予想を上回る良い重症モデルを構築することができたと考える。さらに、軽症モデル構築に対する、多くの有意義なデータを得ることができたことは事実である。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、これまで採取した検体での様々な分析測定を進め、それら得たデータの解析し、精査することを進める。 さらに、これまでの実験の中で偶然に得た軽症であった個体を精査し、それらを重症であった個体と比較することにより見当を付けて軽症モデルの構築に取り組む。 それと同時に、構築した重症モデルを用いて、治療デバイスや治療薬の効果の検討を進める。 やや遅れがちである分析測定に関しては、早期に予定をたて、随時実施していくことで、遅れないようにする。
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Causes of Carryover |
予定していた旅費を使わず、その分を分析の物品に充てたため、その差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
生じた差額を物品費として、翌年度請求分と合わせて使用する予定である。
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