2016 Fiscal Year Annual Research Report
Energy storing mechanism in Plasmodium falciparum gametocytes
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15K15119
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
徳舛 富由樹 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任准教授 (60733475)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マラリア / ガメトサイト / 脂質膜 / リサイクリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は蓄積した中性脂質がどのようにリサイクルされるかをより詳細に明らかにするため、細胞外に安定同位体ラベルされたグリセロール(細胞内ではTAGなどが分解されて生成される)を添加し、その代謝物を質量分析計(LC-MS)、ガスクロマトグラフィー(GC)、GC/MSを用いて調べた。グリセロールに含まれる重水素ラベルされた炭素は、リン脂質、ジアシルグリセロールに含まれることが確認され、その取り込み方は無性生殖期およびガメトサイト期において異なっていることがわかった。大きな特徴として、ガメトサイトでは不飽和度1,2の脂肪酸のグリセロール骨格への取り込みが無性生殖期に比べて顕著に上昇しており、リン脂質プロファイルで不飽和度の高いものがガメトサイトで多く検出されたことと一致する。このことからガメトサイトでは不飽和脂肪酸をリン脂質に取りこむ速度が速いことが考えられる。
13Cでラベルされたグリセロールを添加した代謝物のトレース実験では、無性生殖期においてグリセロール3リン酸(G3P)でラベル体が確認された。すなわちグリセロールがリン脂質生合成経路であるKennedy回路に入るため、マラリア原虫ではグリセロールキナーゼ(GK)をともなうグリセロールの脂質リサイクリングシステムを保有していることが明らかなり、当初の仮説をサポートする結果が得られた。また無性生殖期の原虫培養中にグリセロールを添加した場合、その増殖は96時間時点で1.5倍程度上昇し、グリセロールの再利用による脂質供給が寄与している可能性が示された。しかし現段階において、G3Pから解糖系へ戻る経路にあるDHAPやTCA回路の代謝物でラベル体は確認できていない。このことは細胞内に取り込まれたグリセロールは主に脂質リサイクリングに使用されることを示している。現在、ガメトサイト期における代謝物の詳細な解析を行っている。
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Research Products
(4 results)