2016 Fiscal Year Annual Research Report
Application of in ovo culturing system of Eimeria tenella for innovation of a method to manipulate the apicoplast genome
Project/Area Number |
15K15120
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 恵春 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 研究員 (80250215)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 原虫 / アピコンプレクサ類 / アピコプラスト / 鶏コクシジウム / 発育鶏卵培養 / 形質転換 / マラリア / 感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト、家畜やペット、野生動物など、様々な動物宿主に寄生する原虫、アピコンプレクサ類の細胞には、アピコプラストと呼ばれる特殊なオルガネラ(細胞内小器官)が存在し、原虫の生存に欠かせない代謝を担っている。アピコプラスト内部に存在するゲノムを操作することができれば、オルガネラの機能を詳細に調べ、マラリアなど、重要なアピコンプレクサ類感染症の予防・治療に役立つ新薬剤開発につながる知見を得るのに大いに役立つと思われる。しかし、現実にはアピコプラストゲノムの操作は難しく、成功例の報告は未だ皆無である。 アピコンプレクサ類の生活環は複雑で、原虫は異なる様々なステージに分化することが知られている。一般的に難しいアピコプラストゲノムの操作も、特定の分化ステージでは可能かもしれない。鶏コクシジウムは、他のアピコンプレクサ類とは異なり、発育鶏卵培養系を用いれば通常の実験室内で生活環上のどの分化ステージの細胞をも得ることができると報告されている。そこで本課題では、鶏コクシジウムを発育鶏卵で培養し、アピコプラストゲノムの形質転換を実現可能にするのに役立つ基礎的な諸条件の検討を行った。 異動したため前年度使用したニワトリの品種「チャンキー」の鶏卵の入手が難しくなり、本年度は別の品種「もみじ」を用いて実験を行った。「チャンキー」同様、二次メロゾイト期までの分化ステージの原虫は安定して得られたが、原虫の一部を実験に使用しながら培養系を維持するのに十分な数のオーシストを得ることは難しかった。原虫接種と同時にインスリンを投与すると回収オーシスト数が増大するという報告の追試を行ったところ、オーシスト数の明確な増大は確認されなかったが、漿尿膜が肥厚する傾向が見られた。今後は原虫の形質転換の改善と併せて、接種原虫数とインスリン投与量を最適化すること等で回収オーシスト数を増大させることが可能かの検討も行いたい。
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