2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K15122
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 雅裕 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00444521)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トキソプラズマ / 抗原提示 |
Outline of Annual Research Achievements |
私達の研究グループは、トキソプラズマの寄生胞にインターフェロン ガンマ依存的に蓄積する分子群の解析を以前から進めており、これまでにGBPなどの寄生胞破壊因子やRabGDIαを介した制御機構を報告してきた。その解析の中で、p62(およびユビキチン)と呼ばれる宿主分子群が寄生胞にインターフェロン ガンマ刺激依存的に蓄積することも見出していた。インターフェロン ガンマ刺激によってトキソプラズマの殺傷に関与するGBPやRabGDIαなどと異なり、p62を欠損しても感染細胞内におけるトキソプラズマの数に変化はないことから、GBPやRabGDIαなどとは異なり、p62は寄生胞に蓄積するにもかかわらずトキソプラズマの殺傷には関与しないことが明らかとなった。以前に先行研究により、寄生胞内に放出されたトキソプラズマ由来の抗原がキラーT細胞の主要抗原になるということから、次に私達はインターフェロン ガンマ刺激によってトキソプラズマ感染細胞を刺激した時のキラーT細胞の活性化を検討した。その結果、未刺激の感染細胞に比べて、インターフェロン ガンマによって刺激した感染細胞では抗原特異的なキラーT細胞の活性が劇的に上昇することを見出した。この感染細胞をインターフェロン ガンマ刺激した際に見られているキラーT細胞の強い活性化は、p62を欠損した感染細胞では有意に低下し、さらに個体レベルでも野生型マウスに比べて、p62欠損マウスではトキソプラズマの不活化ワクチン投与による抗原特異的なキラーT細胞の数が激減していた。以上のことから、p62はインターフェロン ガンマ刺激に依存してトキソプラズマの寄生胞に蓄積し、寄生胞内に放出された抗原特異的にキラーT細胞の活性化を担うという、これまでに報告されていないユニークな役割を持っていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
開始1年目にして、Cell Reports誌に本研究内容を公表することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は実験的抗原であるOVAの代わりに、がん特異的な抗原を入れ込んだトキソプラズマ原虫を作成し、さらに炎症性反応を高めるためにGRA15によるNFκB活性化能の増強、GRA6のⅠ型化によるNFAT活性化能の増強を行い、さらに抗原特異的な反応が高まるかどうか、さらにがんに対する免疫応答が増強するかどうかを検討する予定である。
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Causes of Carryover |
研究室に配分される執行上の研究目的に制限のない運営費交付金で購入した物品を利用できたため、資金を節約できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2年目では研究のコンセプトの証明を生体レベルで行うために大量の実験動物の購入を予定しており、予定通り消費することを計画している。
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