2015 Fiscal Year Research-status Report
細菌プロテアーゼを介した新たな宿主病原体相互作用の解明
Project/Area Number |
15K15131
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒瀬 尚 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10261900)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プロテアーゼ / LILRA2 / 免疫逃避 / 生体防御 / レジオネラ / マイコプラズマ |
Outline of Annual Research Achievements |
抗体は細菌感染に対する免疫応答に対して重要な機能を担っているが、細菌の中には、プロテアーゼを産生することによって、細菌に対する抗体を分解する免疫逃避機構を持っているものがある。しかし、そのような病原体の免疫逃避機構に対応する生体防御機構は知られていなかった。本研究では、好中球の発現する活性化レセプターの中に、細菌の産生する特定のプロテアーゼによって分解された抗体を特異的に認識するレセプターLILRA2を同定した。つまりLILRA2は、抗体が分解されるという免疫システムにとって危機的状況を検出するためのレセプターであり、細菌の産生するプロテアーゼは宿主病原体相互作用に非常に重要である可能性が考えられた。さらに、本研究ではLILRA2の認識に関わる細菌プロテアーゼを解析し、プロテアーゼを介した新たな宿主病原体相互作用を解明を行った。その結果、レジオネラの産生する酵素を解析することによって、抗体を切断する酵素の同定に成功した。また、どうような抗体を切断する酵素は、細菌だけでなく、カンジダのような真菌にも認められることが明らかになった。また、感染患者の膿汁にも同様な切断された抗体が存在し、LILRA2を介して、免疫細胞を活性化することが判明した。このように、LILRA2は酵素で切断された抗体を認識して免疫細胞を活性化し、その結果、病原体を攻撃することが判明した。今後は、抗体を切断する酵素を解明することによって、LILRA2がどのように生体防御に関与しているかを解明する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究によって、細菌が産生する抗体切断酵素が初めて明らかになった。本研究により、細菌プロテアーゼが免疫応答にどのように関与しているかが明らかになると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
LILRA2が生体防御にどのように関与しているかを解明する。現在マウスのホモログが不明なので、LILRA2と同様に切断された抗体を認識するレセプターを同定し、生体内での機能解明を実施する。
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Causes of Carryover |
本研究では細菌が産生するプロテアーゼによって抗体が分解されるという免疫逃避機構と分解された抗体を特異的に認識するレセプターの研究を計画していたが、予想外にも、真菌であるカンジダも同様なプロテア-ゼを産生することが判明した。そこで、真菌の産生するプロテアーゼについても解析を行なう必要が生じたため未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
真菌の産生するプロテアーゼを含んだプロテアーゼを解析することを計画し、未使用額はその経費に充てる。
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[Journal Article] LILRA2 is an innate immune sensor for microbially cleaved immunoglobulins.2016
Author(s)
Hirayasu K, Saito F, Suenaga T, Shida K, Arase N, Oikawa K, Yamaoka T, Murota H, Chibana H, Nagai H, Nakamura Y, Katayama I, Colonna M, Arase H.
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Journal Title
Nature Microbiology
Volume: -
Pages: 1-7
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] DIR is an innate immune sensor for microbially cleaved immunoglobulins2015
Author(s)
Hirayasu Kouyuki, Saito Fumiji, Suenaga Tadahiro, Shida Kyoko, Arase Noriko, Oikawa Keita, Yamaoka Toshifumi, Murota Hiroyuki, Chibana Hiroji, Nagai Hiroki, Nakamaru Yuji, Katayama Ichiro, Arase Hisashi
Organizer
第44日本免疫学会学術集会
Place of Presentation
札幌コンベンションセンター(北海道)
Year and Date
2015-11-18 – 2015-11-20
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