2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K15139
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
増田 貴夫 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80219336)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | HIV / 逆転写 / 転写 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、複数のステップより構成されるHIV-1逆転写過程の無細胞再構築系を用い, 新規逆転写制御の分子基盤を提示することを目的とした。 H27年度は、逆転写過程に必須とされる cis-配列(LTR、PBS、ppt)をもつミニHIVゲノムRNA(レンチウイルベクタ-由来)を、T7 RNA ポリメラーゼによるin vitro 転写反応により調整した。HIV逆転写酵素(RT)の調整は、その前駆蛋白(p66)をまず大腸菌に発現させ, 得られたp66をHIV由来のプロテーアーゼにより処理し、ヘテロ二量体(p66/p51)を得た。ウイルスRNAをpbs-RNAプライマーとアニーリング後、リコンビナントRT(p66/p51)とdNTPsを添加し,42℃で30-300分行い、得られたcDNA産物をリアルタイムPCR法および変性ゲルを用いたサザンブロット法により、定量及び定性解析した。その結果、無細胞環境下で(-)鎖strong-stop cDNAの合成およびその後のRNaseH依存性の1stストランド転移と(+)鎖cDNA合成までを一連の反応として再構築することに成功した。また、ウイルスゲノムの転写開始点近傍には、3個の連続したG残基が存在し、HIV 持続感染T細胞株(MOLT4/IIIb)内に発現されるHIV-1mRNAと、HIV-1粒子内のゲノムRNAの末端は、グアニンの数異なることを見出し、このRNA5’末端塩基は、逆転写過程での正確なストランド転移反応制御に関与することが示され、HIV-1 RNAの転写開始点が逆転写過程に影響することを示唆する結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H27年度の研究計画に記載した、HIV-1逆転写過程の無細胞構築の基本アッセイ系に必要とされる材料の合成、及び反応産物の定性及び定量解析系を樹立することができた。 さらに、逆転写反応の律速過程の明確化とその制御に関わる新規因子を同定し国際学術誌に報告することができた。以上より、研究は計画通り概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度は、HIV-1逆転写反応の必須基本分子群による反応至適化条件を決め、種々の反応段階にあるcDNA産物の定性および定量解析系により、反応律速段階の明確化にした。 また、この律速過程制御における、ウイルスRNAの5’末端構造の重要性を明らかにした。H28年度は、HIV RTにより合成された、(-)鎖ストロングストップcDNAの3‘末端構造の解析を行い、鋳型RNAのキャップ構造及び3’ LTRのU3/R境界に高度に存在されている3つのG(GGG)塩基を中心にウイルスゲノムRNAに存在する新規RNA配列のcis機能と逆転写制御との関連を探る。また、ヌクレオキャシド、インテグラーゼ等の他のウイルス構成因子による律速過程制御の有無を検討し、HIV逆転写制御の新たな分子基盤の提示を目指す。
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Causes of Carryover |
本研究課題遂行に必須な機器が故障し、交換部品とその修理が年度をまたいでしまったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究課題の遂行に必須機器ではあるが、H27年度に計画予定の実験結果は概ね得られているため、H28年度の使用計画予定には大きく影響しない。
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Research Products
(3 results)