2015 Fiscal Year Research-status Report
B 型肝炎ウイルスのin vitro 感染系の確立と感染防御
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15K15140
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
黒木 和之 金沢大学, がん進展制御研究所, 准教授 (20178122)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | B型肝炎ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
肝炎、肝がん発生の原因ウイルスであるヒトB型肝炎ウイルス(HBV)のLife cycleを理解することは、ウイルス学上重要であるとともに、このウイルスの感染・増殖を阻止する新たな方策を探る上で大切である。本研究の目的は、あまりよくわかっていないHBVの肝細胞特異的な感染の分子機構を解明する足がかりとして、また、感染防御・制御のための抗HBV創薬の基盤技術として、新たに作製するiPSC lineから分化誘導した肝細胞を用いてこれまでにない効率がよく再現性の高い安定したHBV in vitro感染系を確立することである。本年度は、JCRB細胞バンクより入手したヒト繊維芽細胞HE-1、OUMS-36、SF-TYおよびTIG-114細胞へセンダイウイルスベクターCytoTune 2.0(デイナベック)を用いて山中4因子を導入しiPS細胞の樹立を試みた。これまでにHE-1から4株、OUMS-36から3株が得られた。これらの株は肝細胞へと分化誘導できるが、その中からB型肝炎ウイルス(HBV)のレセプターであるNTCP(SLC10A1)を高発現するものが2株得られた。現在、HBV感染能について詳細に検討している。 また、HBV感染成立を簡便に高感度で検出するためのHBV ベクターを産出するためのパッケージング細胞株を新規に作製した。この細胞ではHBV のcore遺伝子等がmethylation-free CpG-rich DNAを含むプロモーターによって安定的に効率よく発現することが期待でき現在HBVベクターの産生能について検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト繊維芽細胞HE-1、OUMS-36、SF-TYおよびTIG-114細胞へ山中4因子を導入しiPS細胞の樹立を試み、HE-1から4株、OUMS-36から3株を得ることができた。これらの株は肝細胞へと分化誘導できるが、その中でB型肝炎ウイルス(HBV)のレセプターであるNTCP(SLC10A1)を高発現するものを2株得ることができた。 また、HBV感染成立を簡便に高感度で検出するためのHBV ベクターを産出するためのパッケージング細胞株を新規に作製した。
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Strategy for Future Research Activity |
B型肝炎ウイルスin vitro 感染系の確立:前年に続きHBV 感染効率のより高いin vitro 感染系を求めて、新規iPSC line の樹立と肝細胞への分化誘導、組換えHBV 感染実験を行う。 iPSC 由来HBV 高感受性肝細胞の株化の試み:より安定的にかつ簡便にHBV 感染・創薬研究を進めることのできるin vitro 感染系としてiPSC由来HBV 高感受性肝細胞の株化を試みる。 HBV 感染に関連するヒト肝細胞因子の探索を試みる。
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